人との縁から大船渡PR、三陸SUNきょう開設/東京都に(別写真あり)

▲ 首都圏の大船渡出身者らが交流を図る場としてオープンする三陸SUN=東京都杉並区(大船渡市提供)

 大船渡市は1日、東京都杉並区高円寺南地内に「大船渡ふるさと交流センター・三陸SUN(さん)」を開設する。首都圏在住の市出身者や大船渡にゆかりある住民らが気軽に集い、交流を図る場と位置付け、市内の物産品販売、移住情報などの発信も展開。市は、センターを通じた人と人との縁も活用して大船渡の魅力を広くPRし、市内観光や移住を促進していきたいとしている。

 

観光や移住の促進図る、特産品販売なども

 

 大船渡市には6年前の東日本大震災後、全国各地から数々の支援が寄せられた。その中では、大勢のボランティアらが市内に入り、支援活動を通じて市民らと交流。いまも多くの人と人とのつながり、絆が育まれている。
 市は平成27年度、深刻化する人口減少に一定の歯止めをかけ、持続可能なまちづくりを目指そうと、市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定。この基本目標の一つに「大船渡への新しい人の流れをつくる」を掲げ、観光誘客による交流人口の拡大や移住・定住の促進といった施策に取り組んでいる。
 こうした背景を受け、市は首都圏に在住する大船渡市出身者をはじめ、大船渡にゆかり、関心がある首都圏の住民が交流を図れるとともに、物産販売、観光やU・I・Jターン等の移住相談などもできる拠点づくりに着手。〝日々の生活の中で、人々が交流を深められる場に〟との考えをもとに、都心への近さや交通の面などから、高円寺南地内に設けた。
 施設は、JR高円寺駅から徒歩5分の距離(約250㍍)にあるビルの1階部分に開設。三陸SUNは、三陸産の「ヒト」「モノ」が融合し、三陸を新たに輝かせたいとの願いを込めて名付けた。
 費用は約2600万円で、国の地方創生推進交付金を活用。運営は、同市の㈱地域活性化総合研究所(新沼謙治社長)に委託する。
 延べ床面積は108・18平方㍍。特産品などの展示・販売スペース、会議や喫茶等に活用できる多目的ホール、キッチン、移住等相談室、トイレなどを配置した。
 市出身者や大船渡にゆかりある人はもちろん、周辺の商店街を利用する買い物客らにも気軽に立ち寄ってもらい、人と人とのつながりを拡大。口コミによる大船渡の情報発信も狙いとしており、センターを通じて新たな大船渡ファン獲得、観光や移住の促進などを図っていく。
 センター内では、市内の各種特産品も紹介し、販売。首都圏への販売ルートが確立されていないもの、生産数量が少ない商品なども置き、消費者の反応を事業者らに報告しながら、製造や販路の拡大、新商品開発などにも役立ててもらう考えだ。
 また、27年度に市が認定した「大船渡スポット」(市出身者が経営、勤務する首都圏の飲食店など9店)と、特産品の取引マッチングなども行っていく。
 1日は午後1時から、戸田公明市長らが出席してオープニングセレモニーを開催。一般公開は2日からとなり、今月いっぱいはプレオープンとして運営し、4月からの本格展開を計画する。営業時間は午前11時から午後6時で、定休日は毎週月、火曜日。
 戸田市長は「大船渡の情報発信をする首都圏の拠点で興味を持ってもらい、大船渡の観光へとつなげていければ。センターを通じて大船渡へ移り住みたいと願う人が出てくるよう期待するとともに、交流で得た成果なども市政運営に生かしていきたい」と話している。