「唐桑高田道路」長部高架橋が連結、30年度の供用開始に期待/陸前高田(別写真あり)

▲ 県境区間の唐桑高田道路のうち長部高架橋が連結=気仙町

陸前高田市と宮城県気仙沼市を結ぶ三陸沿岸道路「唐桑高田道路」の長部高架橋(仮称)の連結式が1日、気仙町上長部地内の現地で開かれた。唐桑高田道路は、被災地復興を後押しする安全安心な「命の道」の県境区間。同高架橋は丸3年の工期でほぼ完成となり、関係者が工事の進ちょくを喜び合うとともに、平成30年度内の供用開始にも期待を寄せた。

 

三陸沿岸道の県境区間
現場で式典

 

式典でコンクリートを流し込んだ関係者ら=同

式典でコンクリートを流し込んだ関係者ら=同

 施工業者主催の連結式には、関係者ら約40人が出席。代表者らがスコップで路面の穴にコンクリートを流し込み、連結を完了した。
 来賓の長谷部智久陸前高田市副市長は「三陸沿岸道路が早期に全線開通し、陸前高田の観光振興、交流人口増加、産業活性化につながれば」と期待。地元の長部地区コミュニティ推進協議会の菅野征一会長は「日々、橋げたが伸びていく工事の様子を見てきた。気仙小児童の見学会などもあり、子どもたちにとってもいい思い出ができた」と述べた。
 国が「復興道路」と位置づけ、整備を進める三陸沿岸道は、青森県八戸市から宮城県仙台市までを結び、総延長は約359㌔。
 唐桑高田道路は、供用済みの高田道路の南端、陸前高田インターチェンジ(IC)から唐桑北IC(仮称)までの約10㌔。岩手県側が8㌔、宮城県側が2㌔で、上下各1車線。総事業費は約600億円となっている。
 長部高架橋は長さ408㍍で、橋脚5基で支える。下部工を含めた事業費は約41億円。上部工工事は鹿島建設㈱東北支店が請け負い、現場での工事は平成26年秋ごろから本格化した。
 打設したコンクリートの耐久性を上げたり、ひび割れを防ぐ最新の工法を採用。当初、橋脚の基礎工事でわき水が発生し、対応に追われたが、その後は順調に進ちょくし、工期通り今月末までの完成を見通す。
 同社は現場見学会など地域とも積極的に交流。気仙小児童が地元にできる橋りょうの愛称を考えるといった機会も設けられた。
 唐桑高田道路内にある気仙トンネル(仮称)は昨年1月、県境のトンネルは昨年12月に貫通。全線の工事進ちょく度は今月末で8割ほどに達する見込みで、新年度からは道路舗装工事が本格化する。  工事発注者の東北地方整備局南三陸国道事務所の金ヶ瀬光正所長は「順調に工事は進んでおり、30年度内の供用開始が見えてきた。早期開通に向けて頑張っていく」と力を込める。