震災6年を前に復興祈念公園が着工、高田松原から教訓伝承を(動画、別写真あり)

▲ 安全な工事の願いを込め、くわ入れを行った出席者ら=陸前高田

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 東日本大震災の犠牲者を追悼し、教訓を伝承する「高田松原津波復興祈念公園」の建設が5日、陸前高田市で始まった。「奇跡の一本松」を含む高田松原地区に、自然災害としては国内初の国営追悼・祈念施設(仮称)のほか、県の伝承施設、道の駅、運動公園などが、国、県、市によって整備される計画で、震災発生から6年を前に始動。公園の整備を予定する東北3県での着工は同市が初めてで、公園全体の完成は平成32年度内を予定する。
 同日、現地で起工式が行われ、関係者ら約100人が出席。
 国交省の田中良生副大臣は「三陸沿岸地域のゲートウェイとして津波防災文化を発信する拠点。地域の声を真摯(しんし)に伺いながら、被災地が地方創生のよきモデルとなるように総力を挙げて整備に当たる」とあいさつ。
 達増拓也知事は「公園整備の早期実現のためには予算の確保が不可欠。改めて関係各位の理解と協力をお願いしたい」、戸羽太市長は「市民の心のよりどころの高田松原に復興祈念公園が整備されることは大きな励みとなる」と述べた。
 工事の安全を願い、代表者によるくわ入れが行われたあと、気仙町けんか七夕保存会が迫力の太鼓演奏を響かせ、着工を祝った。
 同公園は広さ約130㌶で、敷地の中心に国道45号が東西に走る。現時点で総事業費は約100億円を見込む。
 古川沼西側に位置し、公園の中核をなす国営追悼・祈念施設は、広さ約10㌶。敷地内には、県の震災津波伝承施設や被災した道の駅高田松原(タピック45)を一体的に整備する。なだらかな傾斜の築山で仕切られた「追悼の広場」なども設ける。一部施設は、釜石市が開催地の一つとなっている平成31年度のラグビーワールドカップ前の供用開始を目指す。
 国道45号北側には、市が野球場やサッカー場などの運動公園を整備。広田湾沿いには長さ約1㌔の砂浜、T・P12・5㍍の高さの防潮堤(延長約2㌔)、保安林を復旧する。防潮堤の上には「海を望む場」を設け、復旧する市街地や郷土の自然を一望できるようにする。
 公園内にある震災遺構4カ所のうち、奇跡の一本松は国が管理する。残る旧タピック45、旧気仙中、下宿定住促進住宅は今後、県と市で管理のあり方を検討することとしている。
 同公園の基本計画を検討する有識者委員会の委員長などとして継続的に携わってきた東京工業大の中井検裕教授は「沿岸部の大規模な基盤整備としては最後の起工式で、『終わりの始まり』といえる。しかし市民とともに育てる公園事業という観点から、『始まりの終わり』と考えるべき。われわれ専門家もここで一休みすることなく、復興を後押しできるよう尽力していく」と力を込めた。
 同公園は同市のほか、宮城県、福島県に整備される計画。
 同公園のイメージ図は別掲の通り。