世田米中の作品が今年も大臣賞、全国木工工作コンクール(別写真あり)

▲ 作品写真を手に笑顔を見せる特設木工部の生徒たち=世田米中

 第41回全国児童・生徒木工工作コンクール(日本木材青壮年団体連合会主催)の審査結果がまとまり、住田町立世田米中学校(佐藤智一校長)の特設木工部(佐藤創太部長、部員7人)が手掛けた「祈り―陸前高田市常膳寺観音堂」が、中学校の部で最高位とされる農林水産大臣賞に輝き、同じく「ポラーノの広場」も入賞した。卒業を間近に控えた部員たちに、念願の吉報が届いた。

 

観常膳寺音堂を忠実に再現

「ポラーノの広場」も入賞

 

 コンクールには、各都道府県単位の大会に総計2万3759点が寄せられ、その中から入賞した小学校低学年、同高学年、中学校の計108点が参加。審査では▽アイデアに独創性はあるか▽再現性、写実性にすぐれているか▽ファンタジーや夢があるか▽木の自然の良さ、持ち味を生かしているか──などを評価した。
 世田米中の特設木工部は昭和62年以来、コンクールに毎年出品。部員は全員3年生で、夏休みから本格的に活動が始まった。受験勉強と両立しながら地道な手作業を重ね、同校が誇る伝統と作品としての理想を追い求めてきた。
 昨年秋に出品した県大会では「ポラーノの広場」が県知事賞、「祈り―陸前高田市常膳寺観音堂」が県木材産業協同組合理事長賞と、ともに最優秀賞枠に入った。大会を終え、作品が同校に戻ってきた12月も微調整を重ね、全国コンクールに臨んだ。
 同連合会によると、各賞に序列は設けていないというが、一般的には大臣賞が最も高い評価とされる。今回、中学校の出品では「祈り」のみが大臣賞に輝いた。
 「祈り」は、佐藤創太君と迎友華さんが担当した。常膳寺観音堂は、小友町に構える木造方三間の観音堂。市指定有形文化財で、記録には元禄9年(1696)に再建されたとあり、気仙に現存し建築年代が分かる中では最古の遺構の一つと言える。
 2人は気仙が誇る歴史と技術の結晶を忠実に表現しようと、細部にまでこだわった。ミリ単位の部材を組み合わせ、建物が持つ繊細で落ち着いた雰囲気をつくり上げた。 
 大臣賞は全部門から1作品だけ選ばれる文部科学大臣賞を含めると、2年連続17度目の受賞。佐藤君は「観音堂の前にある灯籠にも力を入れた」、迎さんは「先輩と同じ賞を獲得でき、2作品とも入賞できたのがうれしい」と話し、笑顔を見せる。
 一方、「ポラーノの広場」は日本木材青壮年団体連合会木育推進委員長賞を受賞。松田円さんと紺野優希さん、三浦寿孝君、中野雷河君、菅野太陽君の5人で制作にあたり、宮沢賢治の童話をヒントとしながら「住田の森の理想」を表現した。
 気仙川にかかる橋は森の駅につながり、銀河を観測できる天文台を備えた展望塔や、パイプオルガンが美しく響きわたるホールの外観が目を引く。空中散歩ができる熱気球などもあり、独創性と将来の希望にあふれる。
 菅野君は「細かい部分までこだわってつくることができた」と話していた。表彰は6月17日(土)に大阪府内で予定されている。