「地域交付金」導入へ、議会3月定例会最終本会議/住田町

▲ 最終本会議で各種議案を可決して閉会した3月定例会=住田町

 住田町議会3月定例会は13日、最終本会議が開かれ、平成29年度の一般会計をはじめとする各種予算議案を可決した。一般会計は46億2700万円で、大型事業である大船渡消防署住田分署整備費が盛り込まれた本年度当初に比べ5億8700万円(11・8%)の減だが、新事業の地域予算制度をはじめ「小さな拠点づくり」などを推進して住みよい社会づくりを進める。新農業委員会制度に関する条例や人事案件なども議決し、12日間の定例会を終えた。

 

新年度予算を可決

 

 この日議決が行われたのは▽職員の育児休業等▽農業委員会の委員及び農地利用最適化推進委員の定数▽税▽介護予防・日常生活支援総合事業──の各条例改正議案と教育委員任命同意。さらに予算審査特別委員会(委員長・瀧本正德議員)に審議を付託していた一般会計と国民健康保険、簡易水道、下水道、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計予算の計12議案を採決した。
 新年度予算をみると、一般会計に特別会計21億4042万円(本年度当初比2・6%減)を加えた総額は、67億6742万円(同8・7%減)。28年度予算に計上されていた住田分署整備費は繰り越しとなり、29年度中の建設・完成を計画している。
 一般会計のうち、保育所運営費は2億9767万円とし、このうち乳児保育拡大に伴う世田米保育園増築工事予算として5700万円を盛り込んだ。土曜保育の本格運用も進めるなど、出産からの一貫した子育て支援充実を図る。
 新事業のうち、地域交付金事業には400万円を計上。地域の裁量で活用できる「地域予算制度」として導入した。
 世田米、大股、下有住、上有住、五葉の各地区での住民主体の取り組みや、持続可能な地域社会形成に向けた活動を財政面から支える。人的支援策にも注力し、集落支援員と地域おこし協力隊を5地区に配置するなど、町が掲げる「小さな拠点づくり」を押し進める。
 昨年襲った台風10号の教訓をふまえ、河川監視カメラ整備費754万円も盛り込んだ。気仙川を流れる上有住の八日町に新設し、世田米の昭和橋付近では夜間でも確認できるよう機能充実を図る。
 予算に対し佐々木春一議員(日本共産党)は「木工団地2事業体の経営安定化が求められる中、当局の経営体に対する債権回収方針が明確に示されていない」と、反対討論。佐々木初雄議員(無所属)が「優先度に応じた予算配分がなされ、諸施策に意欲を感じる」と、賛成討論を行った。
 採決では、一般会計と国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計予算は佐々木春議員以外が賛成。簡易水道、下水道事業の両特別会計は全員が賛成した。
 条例案のうち、農業委員会の委員及び農地利用最適化推進委員の定数に関しては、委員をそれぞれ8人とする。今夏に改選期を控える農業委員は、選挙ではなく公募や議会議決を経ての選出となるが、当局は5人以上は認定農業者とする方針を示す。
 今年1月から欠員1人が生じていた教育委員は、PTA活動などに携わってきた畠山優子氏(52)=世田米字川向=の任命に同意。任期は平成32年9月末までとなる。議案とは別に人権擁護委員の諮問案件も承認し、今年6月末で任期満了を迎える千葉輝子氏(73)=世田米字城内=が新任期も引き続き務める。