犠牲者悼むたこ揚げ、高田松原で「天旗祈願祭」/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ さまざまな思いを乗せたたこが宙を舞った=陸前高田

 東日本大震災犠牲者の追悼や早期復興を願い、たこを揚げる「気仙天旗祈願祭」は12日、陸前高田市の旧「道の駅高田松原」(タピック45)付近で開かれた。6年前の「あの日」を忘れまいと幅広い世代が参加。糸につながれたたこが大空を舞う光景を目に焼き付けていた。

 

約100人が参加

 

 市民有志でつくる気仙天旗仙風会(佐藤博会長)が主催。5回目となった今年は、市民や奥州市のボランティアら約100人が参加した。
 会場は、高田松原に整備される津波復興祈念公園敷地内。はじめに震災遺構のタピック45そばの低地部で、スポーツカイトを揚げる体験会が行われ、子どもたちが楽しんだ。
 その後、高田松原の防潮堤北側の土砂仮置き場に徒歩で移動。地震発生時刻の午後2時46分には、海に向かって黙とうをささげた。
 このあと、たこ揚げが行われた。津波犠牲者一人ひとりに思いを届けようと、気仙両市の死者数(関連死含む)を踏まえ、60枚連だこ21本、62本連だこ1本、100枚連7本の計2022枚を揚げ、天高く舞う様子を眺めていた。
 全国のプロ歌手ら有志でつくるゴスペルグループ「GONZA&FRIENDS」のメンバー28人も駆けつけ、「アメイジング グレイス」「花は咲く」などきれいなハーモニーを響かせた。
 昨年も参加したという同市の小淵朔矢君(高田小6年)は「重たかったけど上手にたこを揚げることができた。たくさん揚がってとてもきれいだった」とほほ笑んだ。
 同市出身の菅野真代さん(秋田大1年)は「まだまだ復興途上。津波で生き残った市民は前に進まなければならない」と思いを新たにしていた。
 佐藤会長(42)は「七回忌を迎えた今年、奇跡の一本松そばという象徴的な場所で実施でき良かった。震災を後世に伝えていく場としてこれからも続けていきたい」と話していた。