140年余りの歴史に幕、赤崎・蛸ノ浦小の閉校式/大船渡(動画、別写真あり)

▲ 赤崎小の山口児童会長が学びやに別れを告げた=蛸ノ浦小学校

さようなら、みんなの母校

4月に統合

 

 大船渡市立赤崎、蛸ノ浦両小学校の閉校式は20日、蛸ノ浦小体育館で開かれた。140年余りの歴史を重ねた両校は統合され、4月から新生・赤崎小学校となり新校舎でスタートを切る。式には児童や多くの地域住民らが出席し、先人たちや震災後の児童らを支えた母校との別れを惜しんだ。

 

新しい伝統を築いて
赤崎小

 

 赤崎小は、明治6年8月に創立され、平成28年度までに延べ5600人余りの卒業生を輩出。児童らは、近隣の福祉・保育施設などを回っての多世代交流活動、募金活動などを積極的に行い、地域貢献の心を育んできた。
 東日本大震災津波では、赤崎町山口にあった校舎が全壊し、その後蛸ノ浦小に機能を移転。同校と合同授業を行う中、町内の児童数減少も踏まえ、「市立小・中学校適正規模等基本方針」に基づき、統合の話がまとまった。
 式には、県、市関係者をはじめ卒業生を含む児童73人、教職員、地域住民らが出席。式に先立ち、震災犠牲者に対する黙とうが行われた。
 戸田公明大船渡市長は「この地で学校生活を営むことができたのは、さまざまな人たちの学校に寄せる熱い思いと、力添えのたまもの。144年の輝かしい歴史と、培われた伝統は決して絶えることなく、いつまでも受け継がれていくものと確信している」と式辞。
 また、千葉雅夫教育委員長の告辞に続き、同校の三浦和人校長があいさつ。震災後からこれまでを振り返り「地域に見守られながら、2校の児童は持ち前の優しさと、明るさで、自分たちの学校生活を充実させていった。今までより地域が広がる新生・赤崎小でも、変わらぬご支援、協力をお願いします」と述べた。
 その後、同校PTAの志田俊一会長や、来賓の熊谷昭浩市議会議長、田村誠県議会議長らも、学校を中心とした赤崎地域の今後の発展に期待。
 児童を代表し、山口敬就児童会長(6年)は合同授業での日々を思い起こしながら、「取り壊された校舎はないけれど、僕たちの心の中には残っています。これからは、後輩たちが新しい伝統を築いてくれると思います。ありがとう、赤崎小学校」と声を響かせた。
 校旗返納後、全員で同校校歌を斉唱。出席者らは、震災以前の旧校舎にも思いをはせた様子で、母校への感謝を歌っていた。

 

式の終わりに校歌を歌う蛸ノ浦小児童ら=同

式の終わりに校歌を歌う蛸ノ浦小児童ら=同

切磋琢磨の心受け継ぐ
蛸ノ浦小

 

 蛸ノ浦小は、赤崎小の分校として明治6年に創立され、翌年4月に独立。これまでに3000人以上が同校を巣立った。
 児童らが平成9年から活動を始めた蛸ノ浦海づくり少年団は、地域の漁業関係者らと交流し、海岸清掃や新巻きザケ作り、潮干狩り体験などを通し、自然の恵みや生命について学んできた。
 閉校式には、児童46人や関係者が出席。戸田市長が式辞の中で、同校の学習活動の魅力にふれたほか、千葉教育委員長も「これまで幾多の先人が築いてきた心は、きっと新しい学校にも受け継がれていく」と語った。
 同校の須藤壽弘校長は「震災後、2校の子どもたちは打ち解け合い、切磋琢磨(せっさたくま)しながら元気な声を学びやに響かせてくれた。母校のすばらしさを誇りにして、新しい学校に進んでほしい」と、児童らのますますの成長へエール。同校PTAの平子竜一会長や熊谷議長、田村議長らもあいさつを述べた。
 児童代表の亘理江里奈児童会長(6年)は「この校舎であったできごとは、私にとってかけがえのない宝物。蛸ノ浦小は閉校しますが、その伝統や〝蛸小魂〟はなくならない」と語り、新校舎に移る後輩たちに「仲良く過ごしてほしい」と願いを託した。
 その後、須藤校長が千葉教育委員長に校旗を返納。全員で校歌も歌い、思い出深い歌詞とメロディーを心に刻んだ。
 加藤愛理さん(5年)は「蛸ノ浦小での一番の思い出は、学習発表会で劇をしたこと。学校がなくなるのは寂しいけど、新しい学校では6年生としてしっかりみんなを引っ張っていきたい」と決意を語っていた。