「木のこだわり」小学校も、学習机といすを新調/住田町(別写真あり)

▲ 4月以降子どもたちが利用する学習机の搬入作業=有住小

 住田町が町内産木材で製作を進めてきた小学校用の机といすが完成し、21日に世田米小、有住小への搬入作業が行われた。地元のスギやアカマツを使い、取り外し可能な天板は卒業時に一緒に巣立つ計画。中学校では昨年から新調しており、全小中学校で配備が完了。関係者は、地元内外の職人やデザイナーがこだわり抜いた木製品の有効活用に期待を込めた。

 

中学校に続き、新年度から本格活用

 

旧来のデザイン㊧と比べてスッキリとした印象=同

旧来のデザイン㊧と比べてスッキリとした印象=同

 「森林・林業日本一のまちづくり」を掲げる住田町。平成27年度に木いくプロジェクト推進委員会を発足させ、森林資源を生かした活性化策などを探ってきた。
 町内小中学校では平成11年に、スギ材を使った木製机といすを導入。15年が経過し、天板部分の凹凸が目立つようになるなど劣化が指摘されていたため、これまで寄せられた「ふるさと納税」などを財源とし、新調に向けた取り組みをスタートさせた。
 デザイン、基本設計を担当したのは推進委員を務めるナグモデザイン事務所の南雲勝志さん=東京都。町産材を使った杉屋台のデザインにもかかわったほか、現在は役場新庁舎に合った木製パーテーションなどの検討にも携わる。
 強度増などに知恵をしぼりながら、製作全体を担ったのは上有住に作業場を構える松田木工所。天板製作はけせんプレカット事業協同組合、天板塗装は村健塗装が請け負い、〝オール住田〟で手掛ける。
 これまでの机に比べると、脚部分は細く骨太な印象は薄まり、子どもたちが移動させやすい形状となった。その中でも、強度確保のために「まわし組」という技法が用いられた。
 負荷が各部材に循環するように脚が組まれ、見た目の美しさと強度を両立。また、机の天板部分は交換可能で、卒業時に使用した児童自身に贈呈する。手仕事のこだわりや工夫、アイデアによって、子どもたちが6年間大切に使用し、卒業後も地域の誇りを自分の財産として活用してほしいとの期待も込められている。
 本年度は、先行的に中学生分132セット(予備分含む)を製作。昨年7月には有住中で、8月には世田米中でそれぞれ贈呈式が行われた。両校とも、2学期から本格的に使用が始まった。
 その後は、小学生用の製作が本格化し、世田米小分143セット、有住小分89セットの計232セットが完成。21日に町教委関係者らが机などを運び込んだ。
 作業にあたった教職員からは「木のいい香りがする」といった声が聞かれた。4月以降、新学年を迎えた子どもたちが利用する。