「希望の鐘」高らかに、旧校舎跡地に設置/高田高校(別写真あり)

▲ 旧高田高校校舎跡地に設置された希望の鐘。鳴鐘式のあと、遺族や関係者らが鐘を鳴らしに訪れた=高田町

関係者ら出席し鳴鐘式

 県立高田高校(菅野慎一校長、生徒501人)で21日、陸前高田市高田町の旧校舎跡地に設置された「希望の鐘」の鳴鐘式が開かれた。式には、同校の1、2年生や教職員、整備に携わった関係者など約420人が出席。震災の記憶を後世に伝えるとともに、希望を持って未来へ進むことを改めて誓った。
 「希望の鐘」は、同校の同窓会員や学校関係者らで構成される「『希望の丘』を整備する会」(及川満伸会長)が整備を進めていたもの。現在は仮設グラウンドとなっている旧校舎跡地の北側に造成した「希望の丘」の上に、高田高校の紹介や整備の経緯などが記された銘板と共に設置した。
 整備費用には、震災以降に同校教職員を務めた人々からの募金と、全国から同校に寄せられた義援金が充てられた。工事は今年1月16日に着工し、2月28日に竣工した。
 希望の丘の面積は約33平方㍍で、希望の鐘の高さは3・30㍍。鐘をつり下げる鉄製のシンボルタワーは、スクールカラーであるマリンブルーに塗装した。また、船舶に取り付ける真ちゅう製のマリンベルを鐘として使用している。
 鳴鐘式は仮設グラウンドで行う予定だったが、雨天のため第1体育館で実施。はじめに黙とうをささげ、震災による犠牲者の冥福を祈った。
 式では、整備する会の伊藤清子副会長が「希望の鐘に込められた鎮魂と復興への思いを共有できたら。希望の丘に生徒たちがいつまでも集うことを願う」、菅野校長が「生徒・教職員が一丸となり全力で災害防止に努めることを、希望の丘に立ち改めて誓う」、生徒会長の三浦寿希哉君(2年)が「後世に対してできることは震災について語り継ぐこと。これから大きく変わっていく故郷を支えるのは私たち一人一人」とそれぞれあいさつした。
 式終了後、犠牲となった生徒の遺族や整備に携わった関係者らが、希望の丘に移動して鳴鐘。高らかに鐘の音を響かせたあと、海に向かい静かに手を合わせていた。
 震災による同校の死者・行方不明者は、生徒・教職員合わせて23人。大船渡市立根町の県立大船渡東高校萱中校舎で学校生活を送っていた間、校長室には生徒たちの遺影が飾られていた。その遺影は鳴鐘式に合わせて遺族へ渡され、遺影を抱えて鐘を鳴らす姿も多く見られた。
 希望の鐘は誰でも自由に鳴らすことができる。同校では、3月11日前後に行われる震災メモリアル行事などでも使用していきたいとしている。