機能強化のため改修へ、碁石海岸レストハウス/大船渡市
平成29年3月22日付 1面

大船渡市は平成29年度、末崎町大浜地内の碁石海岸レストハウスの改修、備品整備に着手する。交流人口の拡大と地場産業の振興に向け、施設の機能強化を図るもので、季節を感じながら大船渡の漁業に触れられる浜の仕事体験室や休憩スペースなどを新設する。工事は今年の秋以降から30年3月末までを予定しており、市は観光客の増加や滞在時間の拡大などにつなげていきたい考えだ。
浜の仕事体験室など新設
碁石海岸レストハウスは、岩手県観光開発公社の観光施設建設譲渡事業で整備。地元住民を株主とした㈱碁石海岸レストハウスが昭和48年から平成17年まで、国立公園事業の事業者として運営してきた。現在は、建物所有者の市が市観光物産協会に無償で貸与。営業は、同協会員の㈱小川が担っている。
施設は鉄筋コンクリート、鉄骨造2階建て。施設の改修は過去にも、機能の充実や老朽化対策を目的に行われてきた。
今回は、「碁石海岸レストハウス機能強化事業」として、交流人口の拡大と地場産業の振興を目的に実施する。
事業費は設計監理などの委託料や工事費、備品購入費で総額5281万円。総合交流ターミナル施設(世界の椿館・碁石)機能強化事業分の6340万円とともに、市議会3月定例会で可決された28年度一般会計補正予算に盛り込まれた。国の地方創生拠点整備交付金や商工債などを充て、全額を29年度に繰り越して事業を進めていく。
事業では、体験、滞在機能の強化として、浜の仕事体験室(面積29・7平方㍍)と体験資材倉庫(同9・91平方㍍)を増築。浜の仕事体験室は、正面玄関(大型駐車場側)の右手側に整備する。
体験室では、季節ごとの旬の素材を用いた浜の仕事体験が可能。現時点では、春はワカメ、夏はウニ、秋はサケ・イクラ、冬はカキ、通年ではホタテと魚さばきの体験を構想しており、訪れる観光客に大船渡を代表する魚介類と漁業に触れられるメニューを提供したい考え。
メニューに関しては、市グリーンツーリズム推進協議会などの関係機関と連携するほか、外部の専門家に委託して、農業者、漁業者をはじめとした市民を巻き込んだプログラムを検討。体験プログラムの開発支援を通じ、新たなグリーンツーリズム体験の構築、コミュニティービジネスの創出加速も図る。
このほか、1階には休憩スペース(同43・68平方㍍)を確保。テラスの改修、身障用スロープ(2カ所)の増設、多機能トイレへのオストメイト対応設備の設置も行う。
2階には、情報発信機能の強化を目的としたスペースを開設。テレビモニターや展示スペース、ベンチシートを整備し、市内の観光情報、浜の仕事体験の内容などを来館者らに発信していく。
周辺の自然環境との調和にも配慮。内装、外装も改修し、外壁にはモルタル補強と茶系の塗装を施す。1、2階にあるテラスの手すりは、鉄製からアルミ製に更新する。
1階売店の天井には、空調設備を新設。新たな商品陳列棚、冷凍ショーケースも導入し、地元特産品の取り扱い機能の強化も図っていく。
事業は29年度から設計を行い、夏の観光シーズンを終えた秋以降、着工する見通し。30年3月末までに工事を終え、本格供用する計画だ。
市観光推進室の鈴木弘室長は「碁石海岸は市内一番の観光地。大船渡への入り込み客数が減っている中、機能強化事業の導入によって、来客者数、滞在時間の拡大につなげていきたい」と話している。