感謝と別れ告げる、最後の特別出向警察官/大船渡署で見送り式(別写真あり)
平成29年3月23日付 7面

熊本県警から大船渡警察署(髙橋仁署長)に特別出向し、まもなく任期を終える鳥丸清士郎巡査長(30)と杉原徹彦巡査長(28)の見送り式は22日、同市盛町の同署で開かれた。2人は、これまでの感謝を伝えるとともに、1年間苦楽を共にした署員との別れを惜しんだ。
平成24年2月から始まった警視庁や各道府県警からの特別出向は、東日本大震災の被災警察署の支援などが目的。昨年4月に同署に着任した鳥丸、杉原両巡査長は、仮設住宅や災害公営住宅のパトロールのほか、月命日に行われる集中捜索や防犯教室での寸劇披露などの活動を続けてきた。
岩手県警本部は本年度で特別出向者の受け入れを終了することとしており、同署にとって2人が最後の特別出向者となる。
見送り式には、髙橋署長をはじめとした同署署員と警察署協議会の佐々木和雄会長ら約70人が出席した。
惜別のあいさつに立った髙橋署長は、「4月14日に発生した熊本地震の際、古里への心配や感情を胸に秘め、『俺たちは大船渡で頑張る』と気仙の安心・安全に向けてまい進する姿を見たとき、言葉では表せない感情がこみ上げてきた」と振り返ったあと、「任期が終わるのは非常に残念だが、熊本地震に被災された方も2人を待っている。署員として共に勤務した仲間が、遠い熊本にいることを私たちは忘れない」と呼びかけた。
大船渡で2回目の特別出向を終え、4月から熊本県警御船警察署で勤務する鳥丸巡査長は「さまざまな人に助けられて、頭が下がる思い。御船警察署は、熊本地震で甚大な被害を受けた益城町を所轄している。みなさんに恥ずかしくないよう、胸を張って頑張っていきたい」と、同県大津町の大津警察署に赴任する杉原巡査長は「もう1年(大船渡署に)いたかったという思いは変わらない。署員や市民の方に、大変お世話になった。ここで得た経験を熊本で生かしたい」とあいさつした。
終わりに、2人が一列に並んだ署員たちと握手。上司や同僚たちと感謝の言葉を掛け合うなど、別れを惜しみつつも、これからの活躍と再会を誓い合っていた。
気仙を離れた2人は、他署の出向者とともに、23日に盛岡市の県警本部で行われる離任式に臨む。