事故抑止へ「ゾーン30」、世田米川向で4月から気仙初の車両速度規制/住田町

▲ ゾーン30の対象区域(写真内の丸数字は標識・表示設置予定場所)

 小学校や町役場、体育館など公共施設が集積する住田町世田米川向地区に4月1日から、気仙地区で初めて「ゾーン30」が設けられる。登下校児童をはじめ歩行者の安全確保を図ろうと、町道の車両最高速度を30㌔に規制するもの。区域内で標識や路面標示が設置されるが、町内の交通安全関係者は「マンパワーによる周知にも力を入れなくては」と気を引き締める。

 

住民周知がカギに

 

 ゾーン30は生活道路における歩行者らの安全な通行を確保しようと、区域(ゾーン)を定めて最高速度30㌔の速度規制を実施する生活道路対策。このほかにも各種安全策を講じ、ゾーン内における「抜け道行為」などの抑制も図る。
 県内では平成24年度から広がり、27年度までに20カ所に導入。各警察署や警察本部で検討を進め、場所や立地施設、幹線道路につながる道路状況などをふまえ、安全性向上が期待できる区域を対象としてきた。その一方、気仙ではゼロが続いていた。
 気仙初の範囲は、瀬音橋付近から昭和橋を挟み、清水橋までを含む気仙川右岸一帯。国道107号は対象外で、規制はすべて町道で行われる。30㌔規制に加え、横断歩道を1カ所新設。区域内の9カ所には、標識・路面標示を設置するほか、さらに各地に標識を立て、ドライバーに30㌔以下での走行を促す。
 世田米川向地内での設置に向けては、大船渡警察署などが昨年6月から関係団体や地域住民などに検討内容の説明を行ったあと、同署交通規制対策協議会や県公安委員会の協議を経て、4月からの設置が決まった。過去に発生した交通事故の分析結果では、自動車と歩行者が衝突した場合、自動車速度が30㌔を超えると、歩行者の致死率が上昇するとされる。
 川向地区には世田米小があり、各自宅からの登校はもちろん、下校時は校外にある学童施設まで徒歩移動の児童が連なる。世田米商店街と川向地区をつなぐ昭和橋をはじめ比較的狭い道路が多く、歩行者とドライバーの〝共存〟がとくに求められている。
 東日本大震災で気仙両市の野球場が被災し、なお復旧まで時間を要する中、今後も町運動公園野球場は県や気仙地区レベルの大会開催を控える。さらに、近年野球場利用で最近増えているのは、グラウンド・ゴルフの大会。高齢者も町内外から訪れる。
 川沿いに位置する運動公園内のふれあい広場は、芝生スペースや子ども向け遊具も充実。町外から訪れる親子連れの姿も目立っている。
 世田米商店街には、古民家や蔵を改修した住民交流拠点施設・まち家世田米駅が整備され、町外から人を呼ぶ観光資源になりつつある。これまで50年以上あった旧役場は解体が完了。その近隣に位置し、野球場の右中間側では新年度、大船渡消防署住田分署の整備が行われる。川向地内は公共施設の再編によって、変化を続ける。 
 ゾーン30の導入は、21日に行われた住田町交通安全対策協議会の会合でも、町担当職員が概要を説明。多田欣一町長は「町の広報だけでは聞いていない、みていないという声が出てくる」と語り、出席した交通安全関係者に周知拡大への協力を呼びかけた。
 気仙地区交通安全協会会長も務める世田米分会長の杉下吉身氏(74)は「住民に浸透するまでには、少し時間がかかるだろう。普通の道路とは違うということを、マンパワーでもアピールしていかなければ。母の会、女性ドライバー部会とも連携しながら活動していきたい」と話している。