伝統の〝船出〟セレモニー、漁港で離任式/閉校の蛸ノ浦小と赤崎小(動画、別写真あり)
平成29年3月25日付 6面

今月末で閉校となる大船渡市赤崎町の蛸ノ浦小学校(須藤壽弘校長、同46人)と赤崎小学校(三浦和人校長、児童73人)の離任式は24日、蛸ノ浦小体育館と、同町の蛸ノ浦漁港で行われた。退職、転任する教職員らの船出を見送る伝統のセレモニーが行われ、児童と教職員らが互いに「ありがとう」の気持ちを伝え合った。
「ありがとう」伝え合う
船によるセレモニーは、蛸ノ浦地区で昭和20年代後半から続いている伝統行事。自動車がいまほど普及していなかった当時、大船渡湾内で同地区と大船渡町を結ぶ市農協所有の「久美愛丸」が就航され、教職員らがその船を利用し通勤していたのが由来という。
東日本大震災後は、大津波で校舎が全壊し学校生活を共にする赤崎小と、合同で離任式を挙行。両校は、4月に統合され新生・赤崎小となることから、蛸ノ浦小として離任式を同漁港で行うのは今回が最後となった。
この日は、はじめに蛸ノ浦小体育館で式を実施。退職、転任する両校の教職員13人がステージに上がり、出席した全校児童に感謝を伝えた。
一関市の小学校に転任となる須藤校長は「みなさんが楽しそうにしていた姿が忘れられない。4月からは新しい校舎に移るが、先生たちと力を合わせていい学校をつくってください」とエール。

大好きな先生たちに何度も「ありがとうございました」の声を響かせた児童ら=同
児童を代表し、蛸ノ浦小の亘理江里奈さん(6年)と赤崎小の山口敬就君(同)が「先生方にしてもらったことは数えきれません」「楽しい思い出を宝に、新しい学校でも頑張ります」と約束した。
その後、教職員と児童らは漁港に移動。児童の保護者ら地域住民も大勢集まり、教職員らは蛸ノ浦地区の亘理榮好さん所有の「第八大榮丸」と、同じく東善彦さん所有の「第八大善丸」の2隻に乗り、出航した。
船上で色鮮やかな大漁旗や各校の横断幕、紙テープが風になびく中、乗船した教職員らは大きく手を振り、涙の別れ。
見送った児童らも、教職員一人一人の名前を呼びながら「さようなら」「ありがとうございました」と、船が見えなくなるまで手を振り続けた。
赤崎小の丹野喜星さん(4年)は「先生と一緒にドッジボールをしたのが思い出。新しい場所でもみんなに優しくしてほしい」と、蛸ノ浦小の森眞帆さん(同)は「一緒にじゃんけんをしたりして楽しかった。これからも元気に、笑顔でいてほしい」と、思い出を胸にとめていた。