白浜─小石浜間で「恋し浜トンネル」が開通、水産・観光振興など期待/三陸町綾里(別写真あり)

▲ 地元の悲願、恋し浜トンネルが開通=三陸町綾里

 県が主要地方道・大船渡綾里三陸線の大船渡市三陸町綾里白浜─小石浜間で進めてきた「恋し浜トンネル」を含む小石浜地区地域連携道路整備事業が完了し、25日に現地で開通式が行われた。地元が旧三陸村時代から実現を訴えてきた事業で、60年来の悲願達成を多くの地域住民や関係者が喜び、観光、物流、水産振興などさまざまな整備効果の波及に期待を込めた。


 県の東日本大震災津波復興計画では、災害に強い交通ネットワークの構築を進めることとしており、大船渡綾里三陸線を防災拠点(役場、消防等)や、医療拠点(2次、3次救急医療施設)へアクセスする道路および水産業の復興を支援する「復興関連道路」と位置付け、道路整備に取り組んできた。
 旧道は地域住民の通勤、通学や救急車の出動ルート、観光施設へのアクセスルートにも利用されてきたほか、ホタテの生産で有名な小石浜漁港や砂子浜漁港があるため水産物の輸送ルートとなっていたが、1車線のみで急カーブが連続し急勾配もあるなど、安全な交通の支障となっていることから整備が進められてきた。
 開通による主な整備効果として、移動時間短縮、救急搬送の安全性・安定性の向上、地域間の交流・連携の促進などが挙げられている。
 開通式は白浜側坑口付近で開かれ、県や市、恋し浜トンネル整備促進期成同盟会、地元住民・児童など合わせて約130人が出席。
 はじめに、沿岸広域振興局の小向正悟局長が「開通が、小石浜をはじめ大船渡市のいっそうの振興に寄与することを祈念する」とあいさつ。
 来賓の戸田公明大船渡市長、田村誠県議会議長も完成を祝うとともに、地域への波及効果にも期待を寄せた。
 続いて、地元住民を代表して小石浜地区の佐々正人さんが「開通は、人々の出会いをこれまで以上に活発にし、産業にも実りをもたらしてくれると信じている」と、白浜地区の熊谷常孝さんが「難所がなくなり大幅に時間が短縮される。本当にいい道路になった。産業振興、観光発展にさまざまな効果がある」と述べた。
 事業報告のあとは、ホタテをはじめとする地域の特産品をイメージした坑口レリーフの除幕とテープカットを実施。
 権現舞の披露や、地元の瀧田長雄さん(77)と妻・チセ子さんの金婚夫婦を乗せたリムジンなどによる開通パレードも行われ、新道の開通を盛大に祝うとともに、地域振興への貢献を祈願した。