初の女性消防士誕生、猪川町の上野梢さん/大船渡地区消防組合

▲ 大船渡地区消防組合第1号の女性消防士となった上野さん=盛町

 大船渡地区消防組合(村上芳春消防長)に、初の女性消防士が誕生した。1日付で大船渡消防署に配属された上野梢さん(22)=猪川町=は、「子どもたちの目標とされるような消防士になりたい」と抱負を語る。矢巾町の県消防学校で半年間、訓練に励んだあと、大船渡署で勤務を始め、同組合の新しい歴史を切り開いていく。

 消防庁では、全国の消防職員に占める女性の割合を、平成38年までに5%まで引き上げる目標を掲げており、県内の各消防組合でも採用の動きが広がっている。
 同組合では、27年に施行された「女性活躍推進法」に基づき、「女性職員の活躍の推進に関する特定事業主行動計画」を策定。32年度までに、採用試験の女性の受験者数を3人に引き上げ、受験者総数に占める女性の割合を10%以上とするなどの目標を掲げている。
 目標達成に向け、28年度から管内の高校での女性向け採用説明会を開催しているほか、各種制度に関する情報の周知など、さまざまな取り組みを進めている。
 また、2月まで使用していた旧庁舎では、構造上、女性職員の受け入れが難しい部分があったが、女性専用の仮眠室などを完備した市防災センターが1日から正式運用を開始したことから、施設面の課題をクリアした。
 同組合第1号の女性消防士となった上野さんは、真新しい制服に身を包み「責任を感じて、身が引き締まる思い」と緊張の面持ち。
 大船渡市出身で、大船渡高校卒業後は北海道の大学に進学した。消防士を志したのは「(消防士として)活躍する高校の先輩や後輩の姿を見て憧れたことと、古里のために働きたかったため」という。大学在学中は勉強やトレーニングを欠かさず、同組合の採用試験では、学科の1次試験、面接や体力検査などの2次試験をクリアして、夢をかなえた。
 3日に防災センターで行われた辞令書交付式では、同期の炭釜邦康さん、小澤航平さん、大和田佑樹さん、澤田理久さんとともに村上消防長から辞令書を手渡され、消防士としてスタートを切った。
 今後は、県消防学校で約半年間、消防職員としての知識や技術、心構えなどを学ぶ。「(消防学校で)自分がやっていけるかどうか…」と不安をのぞかせるが「大船渡を守るのにふさわしい人間になって帰ってきたい」と力を込める。