特色生かす地域目指し、町内全5地区に地域興し協力隊員配置/住田(別写真あり)

▲ 活動充実を誓い合った協力隊員の(左から)菊池さん、金野さん、平林さん、近藤さん、植田さん=町役場

 住田町の集落支援員兼地区公民館主事、地域おこし協力隊員辞令交付式は3日、役場町民ホールで開かれた。町は本年度、地区公民館を中心とする「小さな拠点づくり」を通じた地域振興支援に力を入れる中、世田米、大股、下有住、上有住、五葉の全地区に協力隊員配置が整った。新規に導入する「地域交付金」の活用とともに、特色を生かした住民主体の活動を促す。

 

「小さな拠点」担い手そろう

 

 式には、集落支援員、協力隊員合わせて9人が出席。代表者に辞令を交付した多田欣一町長は「役場職員、公務員だけでは、地域づくりが十分にできない。民間のノウハウ、違った職場で得た経験を住田のまちづくりに生かしてほしい。地域課題をどのように掘り下げ、再生をさせていくか、皆さんに期待しているものは大きい」とあいさつした。
 住田町の人口は約5800人で、県内の町の中では最も少ない。豊富な地域資源に恵まれている一方で、急速な人口減少や高齢化により、地域・地区ごとの住民活動維持に難しさが出始めている。
 町は各地域で住民自治につながる集落生産・交流活動や、協働の仕組みを目指す「小さな拠点づくり」に着手。推進役として、協力隊員の採用を進めてきた。
 昨年4月に、植田敦代さん(31)=盛岡市出身=を世田米の協力隊員に任命。12月には五葉に菊池顕さん(30)=同、今年3月には上有住に金野正史さん(30)=大船渡市出身=が着任した。
 3人は本年度も務め、今月から下有住には平林慧遠さん(31)=東京都出身、大股には近藤紗恵子さん(24)=大阪府出身=が新たに加わった。これで全5地区での配置が整った。
 平林さんは岩手大学卒業後、岩手県職員となり、21~23年度は県大船渡農林振興センターで勤務。林業、建設分野などの若手らが24年3月に立ち上げた自立的な再生可能エネルギー利用推進などを目指す「エネシフ気仙」にも携わった。
 「気仙の赴任経験や震災が大きかった。支援する側ではなくて、実施主体の側にいたいと思った」と動機を語る。町の基幹産業である農業、林業振興への貢献を見据える。
 近藤さんは龍谷大学(京都府)在籍時に、陸前高田の「うごく七夕」や桜ライン311の活動に自主的に参加。卒業後、2年間京都で高校の非常勤英語教諭を務めた。
 旧大股小校舎(現地区公民館)を活用したプロジェクトや、イベント・ツアーなどソフト面への期待が高まる。「出身の大阪は、人のつながりを大事にする人が多い。その意識を大事にして、得意な部分を伸ばしたい」と、意欲を見せる。
 町は本年度も、各地区に集落支援員を配置。まち家世田米駅が拠点となる「食いく」の協力隊員を含めると、公民館機能がある5地区すべての施設に複数の人材が入り、住民や各種団体と協調しながらの活動充実が期待される。
 マンパワーに加え、町は財政支援として地区の自主的な裁量で活用できる「地域交付金」(400万円)を新規に導入。住民主体の活動や、特色を生かした取り組みで生まれる「小さな拠点づくり」を積極的に支え、人口減少下でも住民が誇りや生きがいを得られる生活環境を目指す。
 交付を受けた支援員、協力隊員次の通り。
 ▽集落支援員兼地区公民館主事=紺野和美(大股)松田美代子(下有住)佐々木忍(上有住)紺野満(五葉)
 ▽地域おこし協力隊員=植田敦代(世田米)近藤紗恵子(大股)平林慧遠(下有住)金野正史(上有住)菊池顕(五葉)菅野悠太(食いくプロジェクト)田内聡(木いく同)