気仙発祥の小枝柿、遊休農地活用して苗木定植/大船渡市農協

▲ 順調な生育を願い、小枝柿の苗木を植える田中さん㊨や農協関係者=大船渡町

 大船渡市農協(新沼湧一組合長)がブランド化を目指す小枝柿の加工商品「気仙小枝柿」。震災後、大手企業の支援を受けてパッケージなどを一新し、「懐かしの故郷の味」に高級感を加えた自慢の干し柿だ。将来を見据えた増産体制構築のため、3月には組合員による遊休農地を活用した苗木定植も行われた。気仙発祥の小枝柿を全国にPRし、農業振興を図っていく。

 

増産体制構築へ一歩一歩
自慢の加工品、PRにも力

 

パッケージも変わり、高級感ある商品となった「気仙小枝柿」

パッケージも変わり、高級感ある商品となった「気仙小枝柿」

 苗木を定植したのは、大船渡市大船渡町の田中將昭さん(66)。農協から苗木20本を購入し、同町内の遊休農地約7㌃に植えた。
 田中さんは震災で自宅が被災し、そばにあった小枝柿の成木数本も失った。以前は自家消費していたが、新たに植えた苗木の柿は農協への出荷を計画し、「指導を受けながら少しでも気仙の特産品の活性化に貢献できれば」と力を込める。
 定植作業には、市農協の役職員や小枝柿生産部会関係者も参加。同部会の平野光輝部会長は「柿を植え、面積を増やしていくだけではなく、今ある柿をいかに収穫し、利用していくか考えていかなくては。収穫体験など住民を巻き込んだイベントも企画していきたい」と語った。
 小枝柿は、気仙地域で古くから栽培されている種なし柿。毎年冬になると各家々で乾燥作業が行われ、ころ柿として親しまれている。
 市農協は震災後、6次産業化に向け、飲料メーカー大手の㈱キリン支援のもと、小枝柿を使った商品開発を展開。平成26年11月には、津波で被災した三陸町越喜来の加工・出荷施設が日頃市町に新築移転され、生産基盤も整った。
 それまで商品名としていた「三陸ころ柿」は、「気仙小枝柿」に生まれ変わり、気仙ブランドを前面に打ち出した。パッケージ、製法にもこだわって高級感をアピールする。
 26年度に本格生産が始まり、贈答用として大手デパートのカタログにも掲載。一昨年のJAグループ6次産業化商品コンテストでは菓子スイーツ部門で最高賞を獲得した。
 需要は高いが、生産者の高齢化、原料確保が課題だ。昨年度は不作傾向になる「裏年」にあたり、商品の出荷数量は目標より0・4㌧ほど少ない約1・6㌧に終わった。
 本年度は、前年の倍近い約3㌧の出荷を目指す。遊休農地再生も狙いに苗木の定植にも力を入れていく。
 担当する市農協営農経済部営農企画課の伊藤諒さんは「気仙のお土産と言えば『気仙小枝柿』と思ってもらえるよう関係機関と連携し、PRにも力を入れていく。しっかり栽培管理された原料を確保するためにも生産者を増やす『仲間づくり』にも取り組んでいきたい」と意気込む。