大船渡ワンレイの新冷蔵施設が完成、原料の安定供給体制強化

▲ 新冷蔵施設内を見学する参加者=大船渡町

 大船渡湾冷凍水産加工業協同組合(森下幹生代表理事、以下大船渡ワンレイ)が大船渡市大船渡町笹崎地内に整備した新冷蔵施設の完成報告会が14日、現地で行われた。同組合は震災前、同町永沢と下船渡に1棟ずつ冷蔵施設を構えていたが、東日本大震災津波により両施設とも被災。新冷蔵施設は下船渡施設の代わりとなるもので、保管能力は旧施設の1・7倍に拡大した。大容量の冷蔵施設を生かした原料の確保と安定供給体制の強化、豊漁の際の価格安定による水産振興が期待される。

 

保管能力 1.7倍に拡大

 

 大船渡ワンレイは、市内の水産加工業者で構成。販売、購買、原料確保のための保管冷蔵、共済、指導、青年部や外国人研修生受け入れ支援などの事業を展開し、三陸・大船渡産の水産加工品の品質向上に努めている。
 平成23年の東日本大震災で永沢と下船渡の冷蔵施設が被災したが、永沢の施設は同年秋に稼働を再開させた。
 下船渡施設の代替となる新施設は、市魚市場近くの旧岩手缶詰工場跡地に建設。鉄筋コンクリート一部鉄骨造4階建てで、延べ床面積は3814平方㍍。総事業費は12億4494万円で、水産業経営基盤復旧支援事業や日本財団からの補助を受けた。
 報告会には、市内水産加工会社から約20人が参加。施設内を見学後、研修室で報告会が開かれた。
 冒頭、森下代表理事は「業界をとりまく状況は厳しいが、役職員一同、皆さまの協力を得ながら新しい冷蔵庫の運営に鋭意努力していきたい」とあいさつ。続いて、施設建設の経過報告や建設委員会からの報告が行われた。
 報告によると、施設建設に当たって24年10月に日本財団に支援を要請。同11月に承認され、25年1月には日本財団の全面的支援が正式決定した。
 施設は27年6月に着工し、28年12月末に完成。今年3月から保管操業が開始されている。
 新たな冷蔵施設は1階に1250㌧2室、3階に1400㌧2室の計5300㌧の冷蔵倉庫を備える。保管能力は旧施設の1・7倍で、容量にして2200㌧上回る。新冷蔵施設の完成により、既存施設を合わせた保管能力は8581㌧となった。
 新施設では現在、輸入イカやイサダなど計約350㌧を保管。魚市場近くに冷蔵施設が集約されたことで、加盟業者の利便性も増す。
 また、大船渡港の国際コンテナターミナルも近く、大船渡ワンレイでは施設で保管している水産物や加工品の輸出促進も構想している。