全国初導入で利便性図る、大船渡と盛岡結ぶ岩手県よろず支援拠点(別写真あり)
平成29年4月20日付 7面

盛岡市の公益財団法人いわて産業振興センター(立花良孝理事長)内にある経営相談所・県よろず支援拠点(星野剛チーフコーディネーター)は、気仙地域を対象に全国初の「Web会議システムによる遠隔地への経営相談サービス」を開始し、19日に同拠点で開所式を行った。大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎内に相談室を設け、同拠点とWeb会議システムで結び、大船渡での経営相談に対応する。式典出席者らは、事業者らの利便性向上と各種課題解決に向け、システムが活用されるよう期待を込めた。
Web会議で経営相談

相談者は地元にいながら専門家の相談が受けられる=大船渡地区合庁
よろず支援拠点は、国が全都道府県に設置する経営相談所。中小企業・小規模事業者・創業予定者らの売り上げ拡大、経営改善など経営上のあらゆる悩みの相談に専門家(コーディネーター)が無料で助言、支援するとともに、各種支援機関や外部専門家とのネットワークを駆使し、事業者の課題解決に向けたワンストップサービスを行っている。
本県では平成26年6月に開設され、今年3月には来訪相談者(社)数が5000者を突破。北海道・東北エリアではトップ、東日本全域でも2番目の実績を挙げている。現在は、中小企業診断士や経営コンサルタント、社会保険労務士などの専門家14人が相談にあたる。
これまでは、事業者が相談のたびに同拠点へ赴くか、地元の商工会議所や商工会、金融機関と連携した合同相談会を利用していた。沿岸部では東日本大震災で被災し、再建に向けた支援を必要とする事業者も多い。しかし、盛岡から遠いために利用がしにくく、合同相談会も開催回数が限られるなど、遠隔地の支援が課題となっていた。
これに応じて同拠点が独自に導入したのが、Web会議システム。同拠点と大船渡地区合同庁舎内の大船渡地域振興センター相談室をシステムで結び、音声、映像を通じて大船渡にいながら経営相談が受けられる。
開所式には、関係者ら約30人が出席。立花理事長は「これまで経営改善の必要性を感じながらも、盛岡まで出向くことができずにいた気仙地区の中小企業の皆さんが利用でき、被災地の事業復興の手助けにもなるものと期待している。積極的に活用し、売り上げ拡大につなげてほしい」とあいさつ。システムの概要説明などが行われた。
式後は、システムのデモンストレーションを展開。大船渡の相談室には㈱八木澤商店(陸前高田市)の三嶋征行営業部長らが入室し、同拠点の星野チーフらから売り上げ向上などのアドバイスを受けた。三嶋部長は「システムによって移動距離が短くなり、時間も空いて大変助かる。だいぶ効率が上がるのでは」と話していた。
システム利用にあたっては、はじめに同拠点と商工会議所や商工会、金融機関が実施する合同相談会などで、コーディネーターが事業者と直接会って相談することが前提。相談の2回目から、システムを使用できる。原則、1回あたり1時間で、無料で何度でも相談可能。気仙では今後、関係機関を対象とした研修会、合同相談会を予定している。
同拠点では、気仙地区での利用状況などを踏まえ、相談稼働率が高い場合は、ほかの遠隔地にも順次展開していくことも視野に入れる。星野チーフは「遠方で相談に来られない方々が、気軽に活用できる仕組みになれば」と、今後の展開へ意欲を見せている。
同拠点への相談予約は℡019・631・3826へ。