憩いの空間さらに充実、新たに「なるせ」開設/住田町(動画、別写真あり)

▲ リズムに合わせて手を動かしながらコンサートを満喫する住民たち=下有住

 住田町の下有住地区公民館で20日、町社会福祉協議会などによる中心型よりあいカフェ「なるせ」のオープニング記念イベントが開かれた。高齢者らが気軽に訪れ、なごやかに過ごせる居場所をつくる取り組みで、中心型は「しょうわばし」(世田米)「あんるす」(上有住)に続き3カ所目。平成28年度は中心型、地域型合わせて延べ約4500人が訪れるなど定着が進んだ中、本年度も住民の生きがいづくりや健康維持を後押しする。

 

中心型よりあいカフェ事業

 

 オープニングイベントには、地域住民や社協、町職員ら約60人が出席。町社協の佐々木松久会長らが「家から外に出て、いろいろな話をするのが健康にはいちばん」と述べたほか、関係者によるテープカットが行われた。
 引き続き、「楽珍一座」(住田町)による三味線などの生演奏に合わせた民謡コンサートが開幕。「南部俵積み唄」「花笠音頭」などが響く中、民謡のリズムに乗せて体操がわりに手を動かす一幕や輪踊りもあり、華やかな雰囲気に包まれた。
 訪れた下有住の高木サキ子さん(80)は「しばらくぶりに会った人たちと話ができるのが、よりあいカフェのいいところ」と話し、笑顔を見せていた。今後は、毎週木曜日午前9時~午後0時30分までの開設となる。
 よりあいカフェ事業は、誰もが気兼ねなく寄り合える場を町内に設け、日中に一人で過ごしがちな高齢者や障害者らの居場所づくりを図るもの。交流を通して生きがいを見いだし、介護予防などを推進する目的もある。
 事業は、町内の小地域単位で設ける「地域型」と、しょうわばしの「中心型」に分かれる。中心型は町地域包括支援センターと社協、一般社団法人・邑サポート、地域ボランティアらが連携を図り運営している。
 毎週火曜日開設のしょうわばしでは、28年度は47回開催し、利用者は延べ1676人。1回あたりの利用者数は35・7人で、開設初年度の27年度を4・5人上回った。語らいを楽しむ女性だけでなく、将棋対局などをして過ごす男性も多い。高齢者を中心とした定着ぶりがうかがえる。
 一方、昨年6月にオープンしたあんるすは、毎週日曜日に上有住にある福祉施設・アンルスで開設。28年度は33回開催し、利用者は延べ447人。1回あたりの利用者数は13・5人で、安定した利用が見られた。
 地域型カフェは28年度、民家や集会所、自治会館など12カ所で開設。地域住民が運営を担い、それぞれ月1、2回のペースで開催した。各会場合わせた運営者は43人で、計202回開催。参加総数は延べ2344人で、1回あたりの参加者は11・6人だった。
 本年度、中心型は3カ所、地域型は11カ所の体制でスタート。高齢者らの生きがいや健康を支えるだけでなく、住田高校生がボランティアで訪れるなど、地域福祉の輪を広げる役割も担う。高齢化が急速に進む中、地域にある施設を生かした住田独自の居場所づくりは、全国的にも注目を集めている。