気仙含む岩手3区分割、衆院の区割り改定案明らかに
平成29年4月21日付 1面

衆議院小選挙区の区割り見直しを検討する、政府の衆議院議員選挙区画定審議会(会長・小早川光郎成蹊大学法務研究科長)が、19日に安倍晋三内閣総理大臣に勧告した改定案の内容が明らかになった。「一票の格差」是正へ、六つの小選挙区を減らすなどするもの。本県では、気仙を含む現行の岩手3区を分割して2区と4区に編入し、現行の4選挙区を3選挙区に減らすなどとしている。現3区は陸前高田市出身の黄川田徹氏(63)=民進党・6期=と、大船渡市出身で比例選出の橋本英教氏(49)=自民党・2期=の地盤となっているが、県内他地区を含め、新たな区割り案が今後どのような影響をもたらすかが注目される。また、広い選挙区となることで地域の声の吸い上げをいかにしていくかといった課題の浮上も見込まれ、各方面へ波紋を広げていきそうだ。
審議会が総理に勧告
平成26年の前回衆院選で最大2倍を超えた一票の格差は、最高裁で「違憲状態」と判断が示され、これを2倍未満におさめるべく、定数の「0増6減」を盛り込んだ衆院選挙制度改革関連法が昨年5月に成立。審議会では同法に基づき今年1月から見直しを進め、改定案をまとめた。
それによると、区割りの見直し対象は19都道府県。「0増6減」で小選挙区を一つ減らして新たな区割りとしているのは、本県をはじめ青森、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県。北海道、宮城、東京、愛知など人口の多い13都道府県では、もっとも人口が少ないとされる鳥取1区を基準に、選挙区人口が2倍を超えないよう線引きを見直してある。
本県の「1減」は、現在、気仙2市1町と、釜石、遠野、一関各市、山田、大槌、平泉各町からなる3区を分割し、気仙2市1町、釜石、遠野、山田、大槌を現在の2区に編入して新しい2区、一関と平泉は4区に編入して新しい3区にしようとのもの。このほか、盛岡市と矢巾、紫波両町の1区に現在は2区となっている旧玉山村を編入する見直しも示された。
27年の国政調査から編入後の新選挙区の人口を見ると、1区は35万6696人、2区は45万7901人、3区は45万9980人。おおむね均衡がとれている形だが、範囲でみると気仙を含む2区は沿岸全域から県北一帯までと広く本州最大ともいわれる。それぞれに地域課題を抱える中、立候補者の選挙活動だけでなく、一票を投じる有権者の判断も難しくなるのは必至だ。
26年の前回選で、現3区では民進(当時民主)の黄川田氏が6選を飾り、党勢に乗った自民の橋本氏が比例復活で2期目に入った。このほか、1区で民進の階猛氏(50)、2区で自民の鈴木俊一氏(64)、4区で自由(当時生活)の小沢一郎氏(74)が当選。このほか、自民は1区に出馬した高橋比奈子氏(59)、4区出馬の藤原崇氏(33)が比例復活当選した。
また、次期衆院選に向け、黄川田氏が代表を務める民進県連などはこれまでに、野党統一候補として現2区で元衆議院議員の畑浩治氏(53)をたてることに、合意している。
安倍総理大臣への勧告を受け、政府は遅くないうちに公職選挙法改正案を国会に提出し、成立を目指す方針で、早ければ夏にも適用されるとの見方が強まっている。
今回の案で、これまで構築してきた地盤が割れるという大きな影響を受けることになった黄川田、橋本両氏。地元後援組織との話し合いは、それぞれ党としての動きを見てからになるものとみられ、今後の動きに注目が集まりそうだ。
改定案は別図の通り。