桜ライン311が受賞、日本さくらの会功労者/地道な植樹活動などで

▲ 市内の児童生徒を対象に植樹を行うなど、防災教育と景観づくり、サクラの保護に寄与していることが評価されたNPO法人桜ライン311(写真は過去の植樹会の様子)

 陸前高田市のNPO法人桜ライン311(岡本翔馬代表理事)はこのほど、公益財団法人日本さくらの会(本部・東京都千代田区、大島理森会長)の「功労者」表彰を受けた。津波到達地点へのサクラ植樹を通じ、東日本大震災の教訓を伝えていこうという活動が評価された。
 同会は、日本人に愛されるサクラを守り育て、その普及に努めることを目的とし、東京オリンピックが開催された昭和39年に創設。サクラの名所や、名木・巨木の保存、サクラを通じた国際親善活動などを展開するほか、毎年「さくら功労者」を選出し、表彰を行っている。
 さくら功労者は、サクラを生かした観光振興をはじめ、植栽・管理などに関する功績のあった個人や団体を顕彰するもの。本年度は全国43の個人・団体が受賞し、今月、東京都千代田区の憲政記念館で表彰式が開催された。
 桜ライン311は、市内約170㌔にわたる津波到達地点に、計1万7000本のサクラを10㍍おきに植えるため活動。春が来るたびに花が咲いて人々をひきつける〝ライン〟をつくることで、「大地震が来た時には、ここより高いところへ逃げよう」と啓発し続ける。
 植樹会は毎年春と秋に実施。県内外からボランティアの参加があり、同市を訪れる「リピーター」も獲得している。また、市内小中学校、気仙管内の高校生を対象とした植樹・講話を行うなど、地元の子どもたちに対する防災教育にも力を入れる。
 現時点で、サクラは市内248カ所に1227本が植えられているが、同法人メンバーは植えた木一本一本の生育状況をチェックする「全箇所確認」を行うなど、日々地道な作業にあたっている。今回の受賞は、サクラによる美しい景観づくりだけでなく、次世代へとつなげるこうした活動が評価されたことによる。
 同法人によると、植樹に参加するボランティアの人数に大きな変化はなく、今も関心を寄せ続けてくれる人がいることを示しているものの、苗木購入のための寄付金などは減少傾向にあるという。事務局の佐々木良麻さん(31)は、「全国的な機関に認めていただいたというのはありがたいこと。これをきっかけとし、当法人についてもっと知っていただければ」と話し、活動の広がりと再認知を願った。