春の褒章 気仙からは1人、調停委員功績で大船渡の吉田さん受章

吉田久美子さん

        吉田久美子さん

 政府は、平成29年春の褒章受章者を28日付で発表した。気仙からは、調停委員の吉田久美子さん(68)=大船渡市赤崎町後ノ入=が調停委員功績で藍綬褒章を受ける。発令は29日。
 褒章は人命救助や業務精励、産業振興、社会福祉の増進などで優れた業績を挙げた個人・団体を対象に毎年春秋に実施。今回は全国から754人、県内在住者は13人が受章する。
 吉田さんは、昭和42年度に大船渡高校を卒業。東京都の大学に進み、卒業後は建設会社に入社した。その後は、外資系企業2社で勤務。38歳で帰郷し、町内で英語塾を立ち上げた。
 平成9年に民生委員となり、翌10年から調停委員に。以降19年間、民事・家事といった各種調停に尽力している。
 「一人一人事情が違うし、お話が上手な方ばかりではない。そうした中で、どちらにも中立で、第三者から見ても納得できるようにするというのは本当に難しい」──。これまでに調停で携わった人は3桁に到達しているという吉田さんだが、「決して慣れるということはない」と語る。
 「離婚では、お子さんがいる場合は養育費、面会など、子どもにとって何が一番いいのかというのも意識する。両者が平行線をたどって行く中でどう折り合いを付けられるか。一日で終わることはなく、1年半かかったこともある。双方からありがとうと言われた時にはほっとする」と振り返る。
 受章に関しては「ほかの調停委員、裁判官の協力のおかげ」とし、「長くやってきたことを評価していただいているのであれば、残りの任期2年を誠実にまっとうしたい」と意気込む。