青空の下 山頂へ、五葉山で山開き(別写真あり)

▲ 好天の下、山頂を目指す登山者たち=五葉山

 

 大船渡、住田、釜石の3市町にまたがる本県沿岸南部の最高峰、県立自然公園五葉山(1351㍍)で29日、「山開き安全祈願祭」が行われた。青空の下、3市町からの家族連れや登山愛好家らが山頂を目指したほか、野田武則釜石市長や大船渡、住田両市町の担当職員が、老朽化が進む山小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」を視察し、劣化状況を確認した。

 

「石楠花荘」の視察も

 

 北上山系に属する五葉山は、視界の良い日に山頂から山田湾や金華山、早池峰山などを展望できる。山頂までは比較的緩やかな道が続くことから、家族連れや高齢者からも人気が高く、ツツジやシャクナゲが咲く6~7月にも多くの登山者が訪れる。
 ここ数年、大型連休が始まる『昭和の日』に行われている祈願祭は、五葉山自然保護協議会(会長・野田釜石市長)が主催。大船渡、釜石両市境にある赤坂峠登山口で開かれ、同協会関係者のほか、一般の登山者ら合わせて約100人が参加した。
 恒例のホラ貝吹きで始まった祈願祭では、神事で登山の無事とシーズン中の無事故を祈ったあと、野田市長が「今年も山開きを無事迎えられた。五葉山というすばらしい山があることを全国に発信していきたい」とあいさつした。
 このあと、参加者らが続々と登山を開始。好天に恵まれたこの日、登山者たちは汗をぬぐいながら歩を進め、7合目以降は残雪を踏みしめながら頂を目指した。
 山頂に近い石楠花荘の一帯では、登頂した登山者が弁当を広げながら、眼下に広がる風景に見入ったり、会話を弾ませながら和やかな時間を過ごしていた。
 ほぼ毎年五葉山に登っているという大船渡市大船渡町の佐藤テイ子さん(71)は「山開きでこんなに晴れるのは珍しいのでは。頂上の景色が好きなので、(登山を)楽しみにしていた」と話していた。
 同日は、釜石市の野田市長、大船渡市観光推進室の鈴木弘室長、住田町農政課商工観光係の堀尾昌史係長が石楠花荘を視察。五葉山石楠花荘改修促進協議会の市川滋会長らから、小屋の劣化状況について説明を受けた。
 石楠花荘は、1階がコンクリートブロック造で、2階が木造の混構造。建築から29年がたち、1階のコンクリートブロック上の木の土台や、屋根を支える柱などが著しく劣化している。
 視察に同行した県建築士事務所協会釜石支部の柏舘旨緒支部長は「雪の重みなどには耐えられると思うが、強風や地震といった強い横揺れが起きると、柱が抜ける恐れがある」と指摘。「土台を取り換えるのは困難で、小屋を部分的に改修するのは難しい。建て替えるのが現実的で、この場所以外に新築するという選択肢もある」と説明した。
 鈴木室長と堀尾係長は、ともに「見聞きしたことを持ち帰って検討したい」と、野田市長は「今回は第一次調査。近いうちに結論を出し、大船渡、住田の両市町とも連携を図りながら取り組んでいきたい」と話していた。