陸前高田にフリースクール整備計画、ネットで費用の寄付募る/NPO法人マザーリンク・ジャパン
平成29年5月4日付 7面

被災地のひとり親家庭を支援しているNPO法人・マザーリンク・ジャパン(寝占理絵代表、本拠地・東京都)は陸前高田市内で、不登校や引きこもりの子どもたちを受け入れるフリースクールの建設準備を進めている。今夏のオープンを目指し、現在インターネット上で建設資金を募っている。同法人は「いまも居場所がなく、困っている子がおり、継続的な支援が必要。そのためにも一日も早く拠点を整備したい」と広く協力を呼びかけている。
不登校の子どもに居場所を、今夏の開設目指す
同法人は東日本大震災を機に設立。発災直後は、宮城県内の各地に整備された仮設住宅でまとめ役を担う自治会長らの心のケア活動に当たってきた。
寝占代表も女手一つで子ども1人を育てた身。当初から「被災地のシングルマザーや子どもをサポートしたい」という思いがあり、陸前高田市内を拠点に活動を始めた平成24年6月から、ひとり親家庭への支援に乗り出した。
市内を中心に仮設住宅を巡回。津波でひとり親になったり、失業した家庭もあり、食料品支援や在宅ワークのノウハウを指導した。
この中で、震災後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)によるものとみられる不登校や引きこもりとなり、自傷行為や家庭内暴力を繰り返す子どもがいる実態を知り、悩む親の相談に乗った際、せきを切ったように泣き、心境を打ち明ける姿を目の当たりにした。
昨年6月には、竹駒町内の空き店舗を借り、こうした子どもたちの居場所となる臨時のフリースクール「おひさまの家」を開校。子どもの不登校に悩む親に対して、子どもの自己肯定感を伸ばす関わり方などをアドバイスし、これまで相談対応した子どもは全員、再登校を果たした。
一方、フリースクールは相談者のプライバシーを守るスペースを確保しきれず、車の中で相談を行うこともしばしば。行き届いた支援を行うため、臨時拠点は3月末で閉鎖し、本設施設の整備に取りかかった。
新たな「おひさまの家」は高田町内の高台に建設を計画。学習室や美術室、音楽室、図書室を備える予定。土地の確保にはめどがついたが、建物の整備費を捻出するのが厳しく、インターネット上で寄付を呼びかける「クラウド・ファンディング」を始めた。
目標金額は1200万円で、3日正午現在で約600万円と半分に達した。寄付者には金額に応じて返礼品が贈られる。寄付の受け付けは6月9日(金)午後11時までで、目標額に達しない場合は、支援者に返金される。
高田町の仮設住宅に入居し、活動する寝占代表は「ひとり親家庭の問題はさまざまなケースがあり、いずれも深刻。長い時間をかけて寄り添い続けるためにもフリースクールを開設したい」と力を込める。
昨年度はひとり親家庭へのサポートのあり方を住民らが学ぶ公開講座も行った。6月には不登校・ひきこもりに関する保護者向けの相談会も陸前高田市などで開催する。
問い合わせは同法人(℡090・3336・3662、office@motherlink-japan.org)へ。寄付は専用ページ(https://readyfor.jp/projects)から。検索キーワード「マザーリンク あの日から」でもアクセスできる。