イサダ2年連続で不漁に、在庫不足で単価高騰/大船渡市魚市場
平成29年5月9日付 1面

金額は3億円余と倍増
数量、前年から3割減
大船渡市魚市場への今季のイサダ水揚げが、4月27日をもって終了した。同魚市場への水揚げ量は、県全体で不振に見舞われた前年をさらに33%下回る3354㌧。この不漁に前年からの在庫不足が加わり、平均単価が高騰したことで、金額は前年比99%増の3億3656万円となった。県全体では、数量6346㌧で同25%減、金額は同128%増の6億2535万円だった。
県内イサダ漁は昨年、全体的に不漁となり、総水揚げ量は前年比38・8%減の8443㌧。太平洋沿岸の漁獲割り当て量のうち、本県に割り当てられた1万5000㌧の6割に満たなかった。
このうち、大船渡市魚市場は数量が同43・3%減の5006㌧、金額は同41・3%減の1億6925万円といずれも前年を大きく下回った。
こうした中、今年のイサダ漁は2月27日に解禁され、大船渡市魚市場へは同日、13隻が計24㌧を水揚げした。解禁前から群れが薄いという情報があったためか、解禁日に出船したのは登録漁船の半分に満たず、数量も前年初水揚げの約90㌧を大きく下回る結果となった。
漁期序盤から、漁業者は「親潮の第1分枝が沖回りして入ってきており、漁場が例年よりも遠い」「群れが薄い」などと不安をのぞかせていた。
中盤以降も漁場は安定せず、さらに天候不良もあって不漁が続いた。宮古、山田、大槌、釜石、大船渡の県内主要5港のうち、数量が前年を上回ったのは釜石のみだった。今年の太平洋沿岸の漁獲割り当ては昨年と同じく、岩手・宮城両県が1万5000㌧、福島県が2500㌧、茨城県が4200㌧。岩手は割り当て数量の4割ほどにとどまった。
一方、昨季の不漁に伴う在庫不足なども影響し、県全体での平均単価(1㌔)は前年の3倍以上となる98円に上昇。大船渡では4月下旬、180円という最高値を記録。こうした単価の高騰により、水揚げ金額は各魚市場で軒並み前年を上回り、大船渡市魚市場では倍増した。
市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「金額は増加したが、数量的には2年続けて不漁。需要供給がアンバランスだった」と話す。
同魚市場の平成28年度水揚げ実績のうち、全魚種合わせた数量は不漁だった27年度をさらに13・7%下回る3万6075㌧と低水準だった。それだけに、本年度は春漁の先駆けとなるイサダ漁で弾みをつけたかったが、これも不漁に終わった。
今後の豊漁に期待がかかる一方で、気仙管内計13の定置網は太平洋クロマグロの資源管理に伴い、今月中旬から10日間ほど順次休漁していく。
佐藤専務は「影響がないわけではないので、巻き網船などを積極的に入れていくなどしたい」と話している。