最後の日、ライブで幕/大船渡屋台村が営業終了(動画、別写真あり)

▲ 営業最終日にライブで感謝を歌った松澤さん㊥と諸岡さん㊧=大船渡屋台村

店主らも出演 

 

 大船渡市大船渡町の仮設飲食店街・大船渡屋台村(以下、屋台村)は7日、全店の営業が終了した。同日はファイナルライブ「さいごのひ」が催され、地元アーティストや店主らが出演。大勢の来場客と互いに「ありがとう」の思いを伝え合いながら、約5年5カ月の日々に幕を下ろした。


 屋台村は、平成23年12月にオープン。東日本大震災の大津波で店舗を流された商店主や、地元の活気を取り戻そうと立ち上がった新規出店者らが集い、プレハブの平屋5棟20区画で営業を開始した。
 日中は食事処、夜は居酒屋としてにぎわった各店には、地元客のほか、復興支援のために訪れたボランティアや工事関係者、市などの派遣職員らが集まった。店内のカウンター席では店主と客たちの話が弾み、野外ステージではさまざまなイベントが催され人の縁を結んだ。
 まちの復興に伴い、今月末までの退去が決まった屋台村内の店舗は、徐々に移転、店じまいなどで減少。残った10店舗も7日を営業最終日に決めた。
 ファイナルライブは、「最後の日にイベントをしたい」という店主らの願いを受け、屋台村の元店舗・沖縄料理「ゆめんちゅ」の佐藤圭二さんらが企画。これをさんりく・大船渡ふるさと大使のシンガーソングライター・河野ひろムさん=大阪府=が後押しして実現した。
 この日は、話を聞きつけた多くの常連客らが野外ステージに来場。酒とつまみでにぎやかな団らんの場が広がる中、河野さんがギターの弾き語りでライブの幕を上げ、来賓の戸田公明市長と、屋台村の及川雄右理事長もあいさつでこれまでの感謝を述べた。
 その後は、シンガーソングライターの濱守栄子さんと束さん、落語家の三遊亭楽大さん、スペシャルゲストのおおふなトン、震災にかかわる紙芝居の読み聞かせを行っている横道毅さんらのステージ。〝大トリ〟には、屋台村開設当初からある居酒屋・喜楽の店主・松澤悦子さんと、同じくらんぷ亭の店主・諸岡悠子さんの2人が着物姿で歌声を重ね、会場を盛り上げた。
 松澤さんと諸岡さんは姉妹で、どちらも今回の屋台村終了と同時に店をたたむ。ステージの上で2人はこれまでの日々を振り返り、「屋台村でみなさんと過ごした時間は本当に楽しかった。屋台村がなくなったあとも、大船渡は元気なまちになってほしい」と願いを伝えた。
 屋台村の常連客で、大船渡町の伊藤四士良さん(74)は「震災後、真っ暗だったこの場所にともった屋台村の明かりは、たくさんの人たちを安心させてくれた。屋台村終了は寂しい思いもあるが、大船渡が前進する新たなスタートのきっかけになれば」と話していた。