「キッズだより」発行、集落支援員と協力隊員/住田町

▲ 協力して今週配布のキッズだよりを完成させた紺野さん㊧と近藤さん=大股地区公民館

 住田町の大股地区公民館を拠点とする集落支援員兼公民館主事と地域おこし協力隊員の女性2人が協力し、本年度から地元の子どもたちを主な対象とした「キッズだより」の発行に取り組む。初回はインターネットの正しい利用や読書推進を呼びかける記事などをまとめ、今後は地元密着の情報発信にも力を入れる。2人はかつて小学校だった公民館の利用促進も見据えながら、活動の充実を誓う。

 

子どもたちに大股の誇りを、女性2人が協力

 

 大股地区の集落支援員兼公民館主事は紺野和美さん(32)で、平成28年度から務めている。これまで常駐は紺野さんだけだったが、4月から地域おこし協力隊に着任した近藤紗恵子さん(24)が加わった。
 紺野さんは昨年度から、公民館だより「ふるさと」を季節ごとに発行。公民館活動や高齢者教室などの取り組みを紹介していたが、子どもたち向けの情報発信も必要と感じていた。
 地区公民館として、地域に根ざした教育振興運動の大切さも実感。また、最近は同公民館を訪れる子どもたちの少なさも気になっていた。世田米小の登下校にはスクールバスを利用している中、立ち寄る機会が限られる。
 紺野さんは、大股小の卒業生。旧校舎や新校舎建設中の仮設校舎、現在は公民館となっている新校舎で学んだ。それだけに、かつての学びやに少しでも多くの子どもたちの姿があってほしいと願う。「まずは、子どもたちが地域に興味を持ってくれれば、親世代も関心を抱く。そして親同士もつながっていくのでは」と語る。
 子どもたちと接点をつくりたいと考えていた中で、近藤さんが着任した。大阪府出身の近藤さんは大学時代、陸前高田の「うごく七夕」や桜ライン311の活動に自主的に参加。卒業後、2年間京都の高校で英語教諭を務めたあと、協力隊員になった。
 4月以降、紺野さんが温めてきたアイデアを、実際に近藤さんが執筆、編集することで「キッズだより」づくりが進んだ。タイトルは「にこにこ」。A4判の両面印刷で、今週中に地区内の約120世帯に配布する。
 近藤さんは、大阪のアートスクールで絵本づくりを学んだ経験を生かした。分かりやすい表現に気を配り、やさしさが伝わるイラストや挿絵を効果的に配置。自らの紹介や「インターネットをかしこくつかおう」と題した注意喚起、おすすめの絵本紹介、近藤さんが考案した「おおまたのゆるキャラ」の名称募集の記事を入れた。
 第2号以降の発行や、自ら作った紙芝居の読み聞かせ、各種体験教室開催など、今後の活動にも意欲的。加えて最近は、東日本大震災時にボランティアの活動拠点として活用された足跡を後世に伝え残す必要性も重要と考えるようになった。
 近藤さんは「私は阪神淡路大震災の時は2歳で、上の世代から伝え聞いた。東日本大震災を伝え聞く世代が増える中で、どう受け継いでいくかも大切では。この施設を利用した、さまざまな人の思いを伝えたい」と、将来を見据える。