赤崎町で連続刺傷事件 60代の男女2人重傷、別容疑で逮捕の男の犯行か

▲ 連続刺傷事件が発生し、規制線が張られた現場=赤崎町

 大船渡市赤崎町長崎地内で10日午後、60代の男女2人が相次いで刃物で襲われる事件が発生した。それぞれ自宅にいた被害者は重傷を負い、県立大船渡病院に搬送されたが、命に別条はない。事件発生直後、被害女性の親戚で、現場近くに住む無職男性が同町内で女性に暴行した容疑で大船渡署に逮捕された。近隣住民や被害者家族の話などから、この容疑者が2人を刃物で襲ったあと逃走したとみられ、同署が詳しく調べている。
 逮捕されたのは、同町字外口85の3、無職・磯谷希容疑者(23)。
 同署によると、磯谷容疑者は10日午後6時25分ごろ、同町字永浜地内の県道を車で走行中、対向車にぶつかったうえ、停車中の車に押し入り、40代の会社員女性の顔面などを複数回殴った疑い。現場付近の住民から通報を受け、駆けつけた警察官が現行犯逮捕した。
 東海新報の取材によると、これより前の午後5時35分ごろ、同容疑者の家族から近くの親戚宅に「息子が家を出て、行方が分からなくなった。捜してほしい」との内容の連絡があった。親戚の男性が付近を捜していたところ、磯谷容疑者の自宅から約360㍍の距離にある住宅の庭で、この家の60代男性が頭などから血を流して立っていたという。
 親戚の男性は、119番通報のため被害男性の家族らと一緒にいたが、消防団員から60代の妻が被害にあったと知らされ、急きょ自宅に駆けつけた。男性の話では、妻は頭や首、腕などから血を流して倒れていたという。
 被害者2人の自宅は直線距離で約200㍍離れており、最初に60代男性、次に60代女性が襲われたとみられる。近隣住民の話では、事件当時、2人の被害者宅近くの民家にも何者かが押し入ったが、何もせず立ち去り、居合わせた家人は無事だった。
 事件直後、被害男性宅に面する県道と、県道から被害女性宅に向かう道路には警察の規制線が張られた。比較的交通量が多い県道は、車での往来が可能だったが、女性宅への道路は通行できず、時折警察官が行き来するのみ。普段はのどかなたたずまいの現場周辺には重苦しい雰囲気が漂い、住民らに動揺が広がった。
 磯谷容疑者は大船渡市内の小中学校、高校を卒業。親戚らによると、事件前日は実家の養殖コンブの加工作業を手伝っていたという。
 重傷を負った女性の夫は「起きてしまったことだからどうしようもない。ただただ妻の回復を祈るだけ」と話していた。
 同署によると、取り調べ中の磯谷容疑者には、意味不明な言動がみられるという。