好天がイベント活況呼ぶ、両市の商業施設オープンも/気仙のゴールデンウイーク

▲ 大船渡駅周辺地区の新しい商業施設開業に伴って行われた「第2期まちびらき」=大船渡町

 先月29日の『昭和の日』に始まり、今月7日まで最大9連休となった今年のゴールデンウイーク。大船渡と陸前高田両市ではそれぞれ、中心市街地の中核を担う新しい商業施設がオープンし、にぎわいを生んだ。期間中は、29日午後と6日に雨が降った以外、ほぼ毎日のように青空が広がり、各地のイベントの集客を後押し。家族連れの帰省者や復興に関心を寄せる観光客らが、気候の良い初夏の気仙を満喫した。

 

まちびらきや観光まつり盛況/大船渡市

 

 大船渡市では、五葉山山開きや碁石海岸観光まつりといった恒例の催しが開かれたほか、大船渡町のJR大船渡駅周辺地区で新たな商業施設がオープン。好天のもと、多くの市民や観光客らでにぎわいを見せた。
 同駅周辺地区内では4月29日、おおふなと夢商店街協同組合の「おおふなと夢商店街」、㈱キャッセン大船渡の「キャッセン・フードビレッジ」と「キャッセン・モール&パティオ」の開業に合わせて「第2期まちびらき」を開催。式典や関連イベントには市民らが足を運び、にぎわいをみせた。キャッセン大船渡によると、フードビレッジとモール&パティオにはオープンから今月7日までに、約4万4000人が訪れたという。
 連休後半の4、5日には、末崎町で碁石海岸観光まつりが開催された。両日とも好天に恵まれ、観光客らがイベントや食などを堪能。主催者によると、初日は約1万6000人、2日目は約1万4000人と計約3万人が来場。震災後の最多来場者数を記録した。
 4日には、猪川町に鎮座する天照御祖神社の式年大祭が挙行された。8年ぶりに猪川小校庭がメーン会場となり、5祭組が獅子舞や手踊りなどの余興を奉納。地域住民や観光客らが見物に訪れた。
 5日には、50回目の「鯉のぼりこどものつどい」が開かれ、親子らが創作体験やステージなどを満喫。大船渡港野々田ふ頭には客船「にっぽん丸」が寄港し、乗船客らが歓迎イベントや市内観光を楽しんだほか、一般向けの船内見学会なども開かれた。
 三陸町の三陸ふるさと振興㈱が運営する道の駅さんりくは4月29日から9日間、「GW(ゴールデンウイーク)さんふる祭り」を開催。期間中はおおむね好天に恵まれたこともあり、多くの行楽客や地元住民が来場。同町産の殻付きホヤが好評を博すなどし、期間中の売り上げは前年を上回ったという。

 

「一本松茶屋」内に開設された臨時観光案内窓口では、訪れた人にアンケート調査も=気仙町

「一本松茶屋」内に開設された臨時観光案内窓口では、訪れた人にアンケート調査も=気仙町

 

待望の施設開業でまちなかにぎわう/陸前高田市

 

 大型連休期間中、陸前高田市で最大の目玉となったのは、高田町のかさ上げ部中心市街地に整備された「アバッセたかた」の開業。先月27日のオープンから7日まで、連日のようにイベントが開催され、誘客を促した。 
 同施設A棟(専門店街)を運営する高田松原商業開発協同組合は、期間中のレジ通過客をカウント。現在集計中だが、「予想をはるかに上回る数の来店者があり、売り上げも想像以上だった」といい、「皆さんがそれだけ、オープンを心待ちにしてくださっていたということ」とうれしい悲鳴を上げた。
 また、商業施設に隣接する「まちなか広場」も、大型遊具の設置された一部エリアで供用を開始。公園の開設は親子らに熱望されていたものだっただけに、人気のすべり台には毎日〝すべり待ち〟の行列ができるほどの活況を呈した。
 土産品などを扱う気仙町の一本松茶屋では、市と観光分野に携わる市内の各種団体が「臨時観光案内窓口」を設置。29~7日までの9日間、全国から訪れた観光客ら約7000人が利用した。市商工観光課によると、「旅の予定を細かく決めていない方が意外と多く、おすすめした場所に立ち寄ってくれるケースがままあった」という。普段立ち入れないタピック45の裏手などを案内する復興最前線ツアー(所要時間90分)を紹介すると、その場で申し込む旅行者も見られた。
 同市観光物産協会を通じた「語り部ガイド」の依頼件数は、9日間で31件。このうち30人規模の団体利用は2件で、利用人数は計148人だった。申し込みは年々減少する一方、今も気にかけ続けてくれる人が〝リピーター〟となったり、友人や知人を紹介するといったケースもあるという。
 小友町の気仙大工左官伝承館では5日、恒例の「箱根子どもまつり」を開催。約1000人の家族連れが訪れ、市民の森のアスレチックや、昔遊びなどに興じた。同館スタッフによると、子どもまつり以外の日にも、全長252㍍のローラーすべり台などを目当てに来場者が絶えず、「ずっとお天気が良かったおかげで、例年よりお客さんは多かった。かき氷もよく売れました」と話していた。

多くの来訪者でにぎわいに包まれた滝観洞=上有住

多くの来訪者でにぎわいに包まれた滝観洞=上有住

 

種山、滝観洞はともに昨年超え/住田町

 

 住田町内の観光施設では、大型連休に合わせてイベントを組み、食にちなんだ企画を充実させるなどして誘客。好天と曜日の配列が後押しし、昨年を上回る人出となった。
 道の駅種山ケ原ぽらんでは、4月29日に「感謝祭」、5月3~5日には「春の種山まつり」を開催し、旬の山菜を並べた屋外販売などで行楽客を迎えた。29日は昼過ぎから雨となったが、ほぼ前年並みだった。
 施設を運営する住田観光開発㈱によると、29日~7日までの入り込み数は、昨年を1458人上回る1万248人。同社では「6、7日が週末で長期連休を取りやすい人もあったと思われ、連休後半まで増加傾向が続いた」と分析する。
 最も多かったのは5日で1815人。4日も1755人が訪れたほか、連休最終日の7日も1000人を超えた。
 上有住の滝観洞は、同社調べによる9日間の来訪者は1470人と、昨年を360人上回った。とくに「滝に鯉(恋)まつり」期間中の4、5の両日は、いずれも400人を超えた。
 入洞だけでなく、食堂では「洞くつカレー」の提供を始め、好評を博した。名物の滝流しそばコーナーにもにぎわいが生まれたほか、子どもたち向けの渓流釣りも人気を集めた。
 世田米商店街では4月29日、古民家を生かした住民交流拠点施設・まち家世田米駅で1周年記念イベントが開催された。屋外で昼食を楽しむ企画が組まれ、降雨がなかった時間帯には多くの来訪があり、節目を祝った。
 種山では大型連休とカタクリの見ごろが重なり、自然散策に訪れた人々を喜ばせた。連休最後の7日に行われた「春の八日町市日」は、気仙両市からの買物客も多く、例年以上の活気に包まれた。