人材育成の期待強く、総合教育会議で意見交換/住田町

▲ 将来の住田を支える人材育成を見据えながら協議が行われた総合教育会議=住田町役場

 平成29年度第1回住田町総合教育会議は22日、町役場庁議室で開かれた。本年度、町内の小中高校が文部科学省の研究開発学校に指定された中、町長と教育委員の意見交換では指定を生かした教育のあり方などが話題に。町は、新設教科「地域創造学」(仮称)の研究に着手することにしており、委員からは将来住田での就職を志す人材育成の必要性など、多彩な観点から発言が寄せられた。

 

「研究開発学校」どう活用


 総合教育会議は、一昨年4月に施行された国の地方教育行政法改正に基づき、首長が教育委員らを招集。この日は多田欣一町長、多田茂教育委員長、菊池宏教育長、高橋誠治、菊池恵、畠山優子各教育委員のほか、教委職員らが出席した。
 多田町長は「さまざまな施策を行ってきて、少しずつ成果が表れてきている。濃密な意見交換をしながら進めたい」とあいさつ。
 多田教育委員長は「課題は山積しているが、明るい展望も出始めている。研究開発学校は、地域の知恵とご支援を受けながら進めなければいけない」と述べた。
 協議では、教育行政に関して意見交換。
 この中では▽研究指定学校の連携、システムづくり▽旧菅野家(まち家世田米駅)の重要伝統的建造物群の指定を目指した「街歩きガイド」「森の案内人」などソフト団体の育成▽英語教育の強化▽保健福祉課と連携した子育て環境▽住田高校の学力向上支援と入学生確保▽地域おこし協力隊の活用──が示された。
 研究開発学校は、教育実践の中から提起される諸課題や時代に応じた学校教育へのニーズに対応した新しい教育課程(カリキュラム)や指導方法を開発するため、学習指導要領など国基準によらない教育課程の編成・実施を認める制度。これまで町教委が中心となり、文部科学省に実施希望を申請していた。
 指定を受けたのは世田米、有住の各小中学校と住田高校で、県内での小中高連携による認定は初めて。本年度から、新設教科のあり方や小中高校12年間にわたる一貫したカリキュラム作成に着手する。30~32年度は実際に授業を実施し、教育課程の確立を目指す。
 町内で15年以上実践している森林環境教育や国際理解教育などを基盤とし、生徒たちの「社会的実践力」の成長を図る。保育園年長児らを対象とした「森の保育園」も教育事業をふまえ、各年代に応じた新設教科「地域創造学」(仮称)の研究に着手する。
 多田町長は、子育て支援策にも言及しながら「(進学や就職で)一度住田から出ても、また戻ってきてもらうまちづくりを」と強調。
 研究開発学校に関して委員からは「子どもたちの夢が広がる。森の保育園事業に参加した高校生が、実際に保育士となって住田に戻ってきている。地道に積み重ねていけば、もっとつながっていくのでは」といった意見が寄せられた。
 別の委員は「幅広い分野に広がってほしい。川の環境や、それを生かした産業など、地域の歴史をふまえた教育を」などと発言。郷土芸能や文化継承の重要性を挙げる意見も出た。
 菊池教育長は「起業などを見据えれば、たとえば農業分野の方々にも入ってもらい、一緒に考えることが重要。地域の力を借りて、どう組み立てるかが勝負になるだろう」と、今後を展望した。
 英語をはじめとした国際理解教育に対し、委員からは「町独自の海外派遣事業に参加した中学生が、他の生徒に成果を伝えたいと考えているが、思うように伝えられていない」との指摘もあった。
 多田町長は、国際リニアコライダー誘致を見据えた教育展開や住田高校での学力向上策も話題にあげ、充実に期待を込めた。