子育て世代の不安解消へ、医師が対応「小児科オンライン」/未来かなえ機構

▲ 「Skype」機能を使えば、医師と顔を合わせて会話を交わしながら相談できる=大船渡病院

 気仙地区内の医療機関などでつくる一般社団法人・未来かなえ機構(代表理事・滝田有気仙医師会長)は6~9月に、子どもに関する質問や悩みをスマートフォンなどから無料で小児科医に相談できるサービス「小児科オンライン」を試行的に行う。医療機関を受診すべきかといった相談や健康面の悩みに、夕方から夜の時間帯に対応。同機構が進める地域医療・介護連携の情報通信技術システム「未来かなえネット」は高齢者を中心に登録が伸びており、子育て世代を支える仕組みづくりにも力を入れる。

 

スマホなどで相談気軽に

来月試行スタート


 このサービスは、㈱Kids Public(キッズパブリック、橋本直也代表、東京都)と連携。同社による遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」は昨年から本格化した。
 通信アプリ「LINE」やインターネット電話「Skype」など、スマートフォンやパソコンから使える機能を活用。医師にリアルタイムで医療相談ができるサービスを展開してきた。
 小児科医の橋本代表(32)は、東日本大震災の支援活動で陸前高田市を訪れた経験がある。昨年から今年にかけ、診療所常勤医の不在化など厳しい状況を知り、同市などと連絡を取っていた。
 こうした中で未来かなえ機構や、県立大船渡病院の渕向透統括副院長(59)=小児科=とつながりが生まれた。来月から、同機構が展開する「未来かなえネット」と連携し、試行サービスを始める。
 期間は6月15~9月15日の3カ月間で、対応時間は午後6~10時。小児科オンラインでは医師33人が登録している。30代が多く、育児休業中の女性医師が相談にあたることもあるという。
 橋本代表によると、現在は1日5、6件のペースで相談があり、0歳児の第1子を育てている母親の利用が多いという。医療機関を受診すべきかどうかといった相談や、子育て中に気づいた変化を聞くといった利用が見られる。湿疹などの症状をテレビ電話上で見せたり、画像添付も可能となっている。
 予約制だが、当日の即時予約も可能。相談時間は、子ども1人に対して1回10分。無料で相談できる。
 先着100人で、未来かなえネットに登録している親子であれば参加できる。現在も新規登録を無料で受け付け中。大船渡病院などに申込用紙を置き、今後は子育て関連施設などにも広げる。
 キッズパブリックはこれまで企業との連携を進めており、地域で立ち上がった組織との連携は初めてという。橋本代表は「まちが復興していく時に、子育て世代が元気になることは絶対に必要。のびのびと子育てをできる地域づくりに貢献できれば」と語る。
 また、渕向統括副院長も「受診するかどうかを迷う時などにも使えるし、とくに出産して退院したばかりの母親は、子育ての不安が大きいと思う。活用によって助言を得られ、不安解消にもつながるのでは」と期待を寄せる。
 未来かなえ機構は、医療・介護・福祉の連携モデル構築を目指す2市1町の医療や介護、行政関係者らで一昨年4月に設立。住民がいつ、どこで診療・福祉サービスを受けたか、どのような薬を処方したかなどの情報を一元的に集約・管理し、参加機関相互で確認できるシステムづくりを進めてきた。
 登録は8700人を超え、気仙の人口に占める登録率は14%。全国にある同様のシステムと比べて登録率は高いが、子育て世代や子ども世代の加入促進が課題の一つとなっていた。新たな取り組みで幅広い世代の関心向上につながるか注目される。
 問い合わせは、同機構(住田町保健福祉センター内、℡22・7261)へ。