未着手事業は「ゼロ」に、大船渡市復興推進計画3月末現在の進ちょく
平成29年5月30日付 1面
大船渡市はこのほど、3月末現在における市復興計画の進ちょく状況を示した。計画に登載した257事業のうち、実施・着手済みとなったのは252事業(98%)におよび、未着手はゼロ。計画最終年の平成32年度までの概算事業費は3881億3000万円で、事業費ベースで8割余りの進ちょく率となった。計画は本年度から仕上げ段階の「後期」に入っており、市は今後も計画の推進に努めていくとしている。
実施・着手済みは98%/費用ベースで8割余り
復興計画の進ちょく状況は、26日に盛町のリアスホールで開かれた市復興計画推進委員会(塩崎賢明委員長、委員20人)で公表。本年度初回の会合には、委員19人とオブザーバーの横山修司氏(東北地方整備局企画部・震災対策調整官)が出席した。
復興計画の期間は、23~32年度の10年間。前期(23~25年度)、中期(26~28年度)、後期(29~32年度)に分け、257事業と土地利用方針に基づく被災跡地利用を進めている。
3月末現在、全事業のうち、実施済みは122事業(昨年9月末現在比18事業増)、着手済みが130事業(同18事業減)、検討中が5事業(同1事業増)、未着手はゼロ。事業費は、3194億1600万円。32年度までの概算事業費は3881億3000万円で、事業費ベースでの進ちょく率は82・3%。27年度分までより9・2ポイント上昇した。
防災集団移転促進事業は3月末現在、366区画中、329区画(89・9%)が造成完了。譲渡・賃貸としての引き渡し済みは301区画、82・2%に上る。
中赤崎地区の森っこ(34区画)、洞川原(3区画)は8月6日の完成を目指す。同地区のお子守様は公共施設の集約を予定しており、来年3月26日までの工期で作業を進めている。
市内に1801戸整備した応急仮設住宅は3月末現在、242戸に540人が生活。863戸が解体済みとなり、大船渡、第一両中学校のグラウンド整備工事は8月5日を工期に行われる。4月以降に解体作業に着手した197戸は、7月中の終了を予定している。
市は30年度から、応急仮設住宅の供与を「特定延長」とする方針。これを受け、みなしも含む仮設住宅の入居者を対象に「今後の住まいに関する意向調査」を行っている。
3月末現在、対象戸数422戸のうち、提出戸数は417戸(回収率98・8%)。
このうち、市応急仮設住宅支援協議会の十分なサポートなしでは意向を定められない「未定」は12戸となっている。
災害公営住宅の入居率は93%。市は4月から、被災者を対象とした入居募集を随時受け付け、意志決定をしやすい環境づくりを図っている。
大船渡駅周辺地区土地区画整理事業では、645筆分の仮換地指定を3月末までに33回実施。619筆分、20万5896・65平方㍍を指定し、指定率は95・3%。残る26筆1万58・65平方㍍も順次指定を進めており、6月には100%に達する見込み。
仮換地指定後、宅地造成などの工事が完了した土地を権利者へ引き渡す使用収益は、3月末までに3回実施。地権者60筆分、4万8325・18平方㍍で使用収益が可能となり、開始率は22・4%となった。
区画整理事業区域内における3月末現在の建築工事着手状況は、51棟のうち27棟が完成。盛土は計画67万立方㍍のうち、施工済みは51万立方㍍となっている。
同月末現在における被災跡地利用の進ちょく状況は、土地利用方針図の見直し(実現化方策の策定)を行う12地区のうち、末崎町の小河原、泊里、碁石の3地区が事業に着手した。
推進委では、委員らから土地区画整理事業区域内に整備する大船渡公園(仮称)と県が復旧工事を行うみなと公園の一体的なあり方、須崎川の活用、津波復興拠点整備事業行政施設内に設けられる観光交流施設の運営などで質問、意見が寄せられた。スポーツ施設の充実、市民団体が持続的な運営を行うための施策、港湾の有効活用など、復興後を見据えた提言、要望も出された。
事業数による進ちょく状況は別表。