地域構想にふれながら 、「新緑の景勝地」を探訪/上有住

▲ 新緑にあふれる〝地域の誇り〟を探訪=坂本川

 住田町上有住の天嶽地域構想学(学長・及川良一天嶽地区自治会長)が主催する「大自然に息づく地域構想のこころ・新緑の景勝地上有住をゆく」は29日、上有住地区内を巡るコースで行われた。参加者はすがすがしい景観を存分に満喫しながら、住民が持ち続ける地域の誇りに理解を深めた。
 「生きられてきた真実や工夫の姿に学び、よりよい生を目指す」という地域構想の本願や神髄に迫り、今の季節しか味わうことができない自然にふれようと企画。町内外から約20人が参加した。
 今回は東北学院大学の佐々木俊三特別補佐が同行。同大学では教養学部長として、地域構想学科の設立に尽力した。
 上有住地区公民館を出発した一行は、坂本川の景観地・別当大滝に到着。地元住民の案内を受け、住民自らが整備した散策路や木製橋を通り、新緑に包まれる絶景を目にした。
 町外からの参加者は「本当にきれい」「来て良かった」と感嘆の声をあげた。一方で水の美しさだけでなく、両岸で確認できるケヤキの太い根など、木々のたくましさに見入る姿も目立った。
 有住保育園北側に位置する菜の花畑の見学は、遠景できる場所から山々の稜線なども合わせて眺望。大滝・小滝、鏡岩、小松洞穴といった上有住が誇る美しさに加え、住民が育てているナデシコ畑も巡り、自然と人間の手で織りなす景観に理解を深めた。
 有住小に隣接する民俗資料館の見学も行い、感想や印象などを語り合う時間も。佐々木氏は同館の展示資料などから木の文化を大切にしてきた歴史や、産金にかかわる文化を実感できたと語った。
 また、小松洞穴や市が開催されてきた八日町にもふれ、沿岸部と内陸部の文化交流にも言及。参加者は地域構想学の大切さを肌で感じ取りながら、丁寧に学び、気づく大切さを再確認した。
 宮城県気仙沼市から参加した小山正敏さん(80)は「多くの場所を巡り、地域住民が地域を愛していることがよく分かった。他の地域でも参考にするべき取り組みだと思う」と話していた。