綾里出身ボクサー 快進撃、5戦連続でKO勝利/バンタム級の千葉開選手

▲ 5戦連続KO勝利と快進撃を続ける千葉選手㊧と叔父の恭平さん=三陸町綾里

 大船渡市三陸町綾里出身のバンタム級プロボクサー・千葉開選手(24)=横浜光ボクシングジム=は、デビュー以来、5戦連続KO勝ちと快進撃を続けている。叔父で綾里在住の千葉恭平さん(49)は「まだ強敵と対戦していないこともあるが、底を見せていない。ボクシングに懸ける気持ちは人一倍大きい」と期待する。目標とする世界王者に向け、たゆまぬ努力を続けている。

 

目標は世界王者

 

 小学校低学年までを綾里で過ごしたあと、沖縄県に移り住んだ千葉選手は、同県内の高校に入学し、ボクシング部に入部。高校中退後に単身上京し、横浜光ジムの門をたたいた。
 その千葉選手に大きな影響を与えたのが、かつてアマチュアボクサーとして全日本社会人ボクシング選手権大会出場などの実績を残した恭平さん。大阪府の大阪帝拳ジムに所属したこともあり、同期の辰吉丈一郎選手(WBC世界バンタム級元王者)らとともに汗を流した。
 千葉選手が綾里に訪れた際などに、ともに練習に励んでいた恭平さんは、アマチュアで実績を積もうとする千葉選手に対し「いずれプロを目指すなら、(アマチュアに)こだわらなくても良い」とアドバイスし、プロ入りの背中を押した。
 プロテストに合格した千葉選手は、デビュー戦を勝利で飾ると、順調に連勝を重ねている。一方で、その強さから対戦相手が決まりにくくなっている。デビュー戦以外の対戦相手は、インドネシア、韓国、タイの選手。4戦目は、試合を求めてバンコクに遠征した。
 接近戦を持ち味とする千葉選手について、恭平さんは「まだ強敵と対戦しておらず、全力を出していないようだ。苦戦したらどうなるか。怖さもあるが、楽しみでもある」と期待する。
 階級はバンタム級(53・52㌔㌘まで)だが、対戦相手によっては異なる階級で戦うこともある。プロテスト合格で与えられるC級ライセンスで戦える4ラウンド制の「4回戦」を4勝し、B級ライセンスを取得。現在は、6ラウンド制の「6回戦」で戦っているが、あと1勝で8、10、12ラウンド制の試合に出場できるA級ライセンスを獲得する。
 ボクシングへの思いは人一倍大きい。12ラウンド制の試合を戦い切れるスタミナを付けるための走り込みは欠かさず、試合前は実戦形式に近い「スパーリング」を100ラウンド行うという。
 また、減量が大きくならないように、ジムの先輩らからアドバイスをもらいながら、普段から節制。現在も、綾里には合宿を兼ねて頻繁に訪れており、大船渡までの峠道を走り込んでいるという。
 アマチュアで実績を残しながら、プロの道に進まなかった恭平さんは「自分は夢半ばで諦めた経験があるので、プロの世界は憧れ。昔はいろいろとアドバイスしていたが、今はジムにトレーナーもいるので、見守るようにしている。強くなっていくのはうれしいが、巣立っていくようなさみしさもある」と笑う。
 目標は世界王者。「ボクサーは短命。明日どうなるか分からない厳しい世界なので、太く短く、時間を大切にして過ごしてほしい」とエールを送る恭平さんは「(恭平さん宅の)近所には顔見知りも多いので、試合の時に足を運んでくれると本人も心強いと思う。ぜひ応援してほしい」と、〝地元の力〟による後押しを願っていた。