シンポジウムなど開催へ、気仙川・広田湾プロジェクト/24日から3市町で

自然や防災、地域政策テーマに

「森川海と人」を知る

 

 陸前高田市出身の小松正之氏(63)が代表理事を務める一般社団法人「生態系総合研究所」は今月24日(土)から、気仙3市町でそれぞれ「森川海と人」に関するシンポジウム・対話集会を開く。山と海に囲まれた気仙地方において、どんな資源活用の可能性があるか伝えるとともに、自然とのかかわりの中で、気仙人は地域の未来をどう切りひらいていくべきかなどについて、米国・スミソニアン環境研究所所長のタック・ハイネス氏の研究発表などからひもといていく。

 漁場や河川とかかわるまちづくりなどを研究する小松氏は、平成27年に「気仙川・広田湾プロジェクト」を立ち上げ。気仙川水系(気仙川本流上流と、大股川、矢作川)と広田湾の生態系、五葉山や種山ヶ原の森林地域の現状を知ることで、自然が生活におよぼす影響とその変遷について、科学的な見地から明らかにしようと試みる。現在は同市気仙町に現地事務所を開き、ほぼ毎月調査に訪れている。
 森と川と海は「三位一体」であり、切っても切れない関係。針葉樹林の放置や、人工的な護岸工事などを遠因とした環境への影響は、めぐりめぐって第一次産業の衰退などにもかかわってくる。シンポジウムでは、アメリカ国内でも貴重な自然体系を持つ「チェサピーク湾」の研究に携わるハイネス所長が登壇し、世界最先端の「森川海研究」について紹介する。
 「規模は異なるが、チェサピーク湾と広田湾をはじめとした気仙地方は非常によく似ている。スミソニアンでの研究や、チェサピークの地域政策には学ぶことが多い」と小松氏。同エリアでは湾内の公園や海洋博物館、歴史地区など、自然資源を生かした観光スポットも人気が高く、今回のイベントでも気仙のまちづくりのヒントにしてほしいという。
 催しは24日に住田町で、25日(日)に大船渡市で、26日(月)に陸前高田市で開催。いずれも、チェサピーク湾とアパラチア山脈におけるハイネス氏の研究発表を軸とするが、3市町で内容が少しずつ異なる。
 住田町では遊林ランド種山を会場とし、午後0時30分開会。チェサピーク湾と広田湾の類似性や、種山ヶ原の視察についての感想発表をハイネス氏が行ったあと、森のマイスターらとの意見交換の時間を設けるなど、車座になっての「対話集会」とする。
 大船渡市のシンポジウム会場は三陸公民館。午後3時30分に開会する。ここでは海と河川、山脈、森林の関係性と科学的な取り組み発表のほか、東京大学農学部水産学科出身で水生生物・水域環境の専門家である望月賢二氏も登壇。「森川海と人総合基本調査について」と題し調査概要を報告する。
 陸前高田市でのシンポジウムは、市コミュニティホールで午後3時30分スタート。ハイネス氏の発表では「自然環境を生かした高波防災」についても取り上げる。続いて望月氏が気仙川・広田湾調査について紹介する。
 いずれも入場無料で、聴講者との質疑応答やディスカッションの時間も設定している。
 問い合わせは、生態総合研究所広報担当の堀口さん(℡080・1343・6119、メールhoriguchi_s@rice-p.com)まで。