里山に映える初夏の風物詩、今年もナデシコ満開/住田町(別写真あり)

▲ ハルノさんらが管理し、2色のピンクで埋め尽くされた畑=上有住

 住田町上有住和野地内で、畑一面に育てられているナデシコが見ごろを迎えた。スッキリとした青空に恵まれた6日は、のどかな里山の風景に濃淡のピンク色が映え、地域に初夏の訪れを告げていた。来週までは見ごろが続くとみられ、畑内は自由に見学できる。

 

 上有住の河村さんが管理

 

 畑は天嶽自治公民館近くにあり、和野地内に住む河村ハルノさん(75)が栽培。「食べ物をつくっても、夫婦2人では食べきれない。それなら花の方が」と、かつては水田だった地に10年ほど前から育て始めた。
 「花っこは、どうしても雑草に負けてしまうから」とハルノさん。早朝からの草取りなど地道な管理を続け、今年もじゅうたんのような光景をつくりあげた。夫の貞雄さん(80)も作業を手伝う。
 ここ数日はまとまった降雨もあったが、濃いピンク色が先に咲き出し、5日からは薄いピンク色の花々も鮮やかさを増した。今は1000平方㍍ほどの平場で、濃淡のピンク2色が広がる。
 6日の住田は、晴れ間が広がったものの気温は上がらず、さわやかな一日となった。盛岡地方気象台の観測によると、最高気温は19・4度(平年比2・6度低め)で、5月中旬並みだった。
 周囲の山々は緑色の濃さが増し、平地の水田では稲の苗が着実に成長。里山の風景と青空の中で、彩りが引き立つ。上有住の初夏の風物詩として定着しつつある。
 ハルノさんはナデシコの株間に百日草を植えるなど、工夫も重ねてきた。満開の畑を見渡し「今年は花のつきが少し悪いような気もするけど、この時期がやっぱりうれしいね。美しく咲いてほしいと思って毎日やってきたから」と語る。
 道路沿いから眺めるだけでなく、畑内の散策もできるという。「どうやって管理するかとか聞かれても、私はよく分からない。少しずつやってきただけ。畑には自由に入っていいから、私には質問しないで」と、冗談めかしながら話す。
 今後1週間程度は見ごろが続くという。開花時期が過ぎると、気仙を含む東北北部は梅雨を迎える。梅雨入りの平年は、14日ごろとなっている。