農家民宿の再建祝う、昨年の火災で全焼/住田町

▲ 民泊仲間とともに充実を誓った紺野会長㊨=住田町

 すみた民泊協会(紺野昭雄会長、会員46人)による「持ち寄り交流会」は7日、紺野会長(69)が運営する住田町世田米小股の「農家民宿一期舎(いちごや)」で開かれた。紺野会長の自宅でもあった一期舎は昨年3月、火災で全焼。「ふれあいをこれからも楽しみたい」と、再び受入体制を整えた。訪れた会員らは再建を祝福するとともに、今後の民泊充実を誓い合った。

 

「今後も楽しみながら」、初の持ち寄り交流会

 

 遠野市境に近い、国道107号の清水トンネル近くに構える一期舎。紺野会長が50歳の時に建てた住宅を生かし、東日本大震災翌年の平成24年から本格的に宿泊を受け入れ始めた。「町外から訪れる人とのふれあいが楽しかった。こちらもさまざまなことを学び取ることができた」と、当時を振り返る。
 復興支援で訪れる人々の宿泊先として利用されたほか、復興工事の従事者が2カ月滞在するケースも。気仙両市に宿泊施設がそろい始めた27~28年も、県外からのリピーターは絶えなかった。その時期に採れる住田の食材を夕食として出すなど、肩肘はらない雰囲気が人気を呼んでいた。
 火災発生は、昨年3月20日。自宅裏に置いていた肥料からの自然発火が原因とみられる。当時宿泊者はおらず人的被害はなかったが、木造2階建ての住宅は全焼。紺野会長は失意に沈んだ。
 住宅の再建は考えていたが、民泊はもう辞めようとも考えた。しかし、一緒に受け入れてきた妻・美根子さん(69)から「もうけるためにやるのではない。今まで通り〝そのまま〟を出せば」と言われ、再起への決意が固まった。
 新たな一期舎は平屋建て。住宅の基礎や、焼けずに残った玄関はそのまま生かした。これまで民泊客を受け入れた1階和室の間取りは同じ。かつて2階の床だった桐材は、和室などで使うテーブルに生まれ変わった。
 各種認可も通り、今月待望の再スタートを迎えた。紺野会長は「渓流釣りや山菜採り、雪遊びなど、季節にちなんだ体験も紹介し、これからもふれあいを大事にしたい」と語る。
 この日開かれた持ち寄り交流会は、一期舎の再建を祝うとともに、会員同士による「横のつながり」を強めることで充実した活動につなげようと同協会が初めて企画。会員に加え、民泊事業に関心がある住民約20人が参加した。
 参加者はそれぞれ、がんづきやゆべし、サラダ、山菜の天ぷら、牛乳、しそジュースなどを持参。7月に津田塾大=東京都、8月には愛知学院大=愛知県=の受け入れを予定している中、歓談や情報交換を通じて「楽しみながら続けていこう」と誓い合った。