寄り添い続けて800回、奥野さんの仮設住宅ライブ/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 住民に歌と元気を届け続けている奥野さん㊧。800回目のライブでも、会場いっぱいに力強い歌声を響かせた=米崎町

 気仙両市をはじめ、県内外の被災地で仮設住宅ライブを展開している大阪府高槻市出身の歌手・奥野ひかるさんは15日、陸前高田市米崎町の旧米崎中仮設住宅で800回目のライブを行った。「みんなが仮設を出るまで付き合うから」と約束し、仮設から出たくても出られない被災者に寄り添い続けている奥野さん。仮設住民たちの気持ちを後押ししようと、この日も力強い歌声を会場いっぱいに響かせた。

 

力強い歌声で住民を後押し

 

 奥野さんは震災後、岩手県内を中心に被災地で仮設住宅ライブを実施し、被災者へ歌と元気を届けている〝元気配達人〟。明るく親しみやすい人柄から〝仮設の歌姫〟〝復興の歌姫〟とも呼ばれており、ライブの最中にも住民たちと親しげに会話を交わすなど、なじみのある存在となっている。
 情熱的な赤い衣装で登場した奥野さんは、『なにわの女』『淀川三十石船舟唄』『みんなドドンパ』『あんたの花道』など7曲を次々に披露。
 「これまで『頑張って』と言ってこなかったが、ゴールが見えてきたからあえて言います。頑張っていこう。私もみんなと一緒に頑張る」と励まし、住民一人一人に対する感謝の気持ちを込めて『ありがとうのうた』を熱唱する場面もあった。
 アンコールの声に応えて出てきた際には、昨年末から仮設住宅ライブを展開している熊本の人々から預かってきたというメッセージも紹介。「まだ仮設が残っていて大変なのに、私たちのことを心配してくれてありがとう。負けないで」と、熊本の被災者の気持ちを伝えた。
 「お父さん起きてるの!」「お母さん息できてる?」とちゃめっ気たっぷりに来場者と交流し、歌だけでなくハイテンションなトークでも会場を盛り上げた奥野さん。旧米崎中仮設住宅の行政区長を務める及川幹雄さん(62)は、「向こうから『800回記念のライブをしたい』と言ってきてくれてうれしかった。(奥野さんのライブは)やっぱり元気が出るしパワーがもらえるね」と楽しげな表情を見せた。
 800回という数字を「節目が来るたびに、『またスタート地点に戻った』という感じ」と受け止める奥野さん。「いつもより気合が入った。最後までやるぞと自分にむちを入れながらこれからも頑張っていきたい」と語り、「『(仮設を)出たくても出られない理由がそれぞれある。そこを誤解しないで』とライブを通して伝えていきたい」と熱を込めていた。
 奥野さんは14日に有住小学校でミニコンサートを開催したほか、17日(土)には住田町民ホールでコンサートを実施する予定。入場無料で、開催時間は午後1時30分~同2時30分までとなっている。