住田町長選/初の新人一騎打ちへ 争点、対立軸はどこに

告示まで残り1カ月

 

 7月18日(火)の住田町長選・町議補選告示まで、残り1カ月となった。町長選は表明順に、会社役員で獣医師の神田謙一氏(58)=下有住=と、前町議会議長で農業の水野英哉氏(61)=上有住=が立候補の構え。4期務めた現職の多田欣一町長(72)=世田米=は出馬せず、町長選としては初となる新人一騎打ちの公算が強まっている。関心が高まっている一方、争点や対立軸、支持の構図が見えにくく、混戦ムードも広がる。町長選と併せて実施される町議補選の動向も注目される。


町議補選は流動的


 町長選は、8月4日(金)の任期満了に伴うもの。昭和30年の町制施行から数えると、通算17回目。今月27日(火)午前10時から、役場で町議補選も含めた立候補予定者説明会が開かれる。
 投開票は7月23日(日)で、投票時間は午前7時〜午後6時。開票は同7時30分から世田米の社会体育館で行われる。
 4期16年務めた現職の多田町長は、昨年12月に勇退を表明した。新人2氏以外に擁立の動きは見られず、一騎打ちの争いが濃厚。前回選は無投票で、競争選は8年ぶりとなる。
 これまでの町長選は新人と現職、新人と元職による一騎打ちか、無投票が続いた。新人同士の争いは4人が立候補した第1回のみで、一騎打ちとなれば初。
 神田氏は、昨年12月に出馬表明。今年1月には後援会「神田謙一と明日の住田を創る会」(泉金一会長)が発足した。住田町農協の家畜診療所勤務などを経て、現在は住田フーズ㈱常務取締役を務めるが、今月中に退任する見込み。
 水野氏は、4月に出馬表明。「水野ひでや後援会」(吉田倎会長)は町議時代からの組織が母体だが、先月、役員改選を行うなど町長選を見据えて再編された。町議は平成11年以来5期18年務め、4期目には20代目の議長を務めた。
 両氏とも、4期16年の多田町政には一定の評価を寄せる。いずれも無所属で出馬予定。政党への推薦なども求めない方針。多田氏は、後継指名や明確な支持表明を行っていない。
 いずれの後援会も、これまでは地域回りに重点を置いて前哨戦を展開。町内では関心の高まりが感じられるが、政策面でどのような対立軸や争点が生まれるかを見極める動きもある。
 神田氏は「医・食・住」の充実を訴えるとともに「住民の生活を守り、人に優しいまちづくりを」「すべての基本はひとづくり、ひとづくりは教育から」などを強調。長年畜産業にかかわってきた中での人脈や地元・下有住の住民らが支え、教育委員や地元企業役員としての経験・ノウハウにも期待が集まる。
 今後を見据え「知名度の高まりに加え、応援していただける人が増えてきた。私自身の人となりや、町長選に臨む基本姿勢を地道に伝え、対話を大切にしていきたい」と語る。
 一方、水野氏は「集落営農や農林業政策の推進」「障害者や高齢者にやさしい町づくりを目指す」「青少年の健全育成と生涯スポーツの推進」といった基本政策を掲げる。町議としての実績に加え、長年にわたり地域活動やスポーツ振興に尽力。地元・上有住にとどまらず、町内全域で住民とのつながりを持つ。
 選挙戦について「地域を問わず、歩く先では良い手ごたえがある。町民目線のまちづくりが重要。さまざまな人たちと話し合いの場を持ち、一緒に夢を描いていきたい」と話す。
 両氏に対しては、人口減少や木工団地の経営再建といった地域課題への具体策をどう発信するかが注目される。また、いずれの陣営も今月下旬から来月にかけ、事務所開きや総決起大会を計画。支持者の団結や盛り上がり、有権者が多い世田米地区や浮動層の取り込みの行方など、組織力も問われる。
 1議席を争う町議補選への動きは、今のところ表面化していない。2年前の町議選(定数12)は史上初の無投票に終わっており、町内では議員の「なり手不足」への危機感も広がりつつある。
 今回は町長選では初めて18、19歳も投票できる。6月1日現在の町内有権者は5126人(男2498人、女2628人)で、4年前の告示前日に比べて258人少ない。