復興拠点に2事業者立地へ、6月定例会最終本会議/大船渡市議会
平成29年6月21日付 1面

大船渡市議会6月定例会は20日、最終本会議を開いた。議員全員が出席し、市当局から提出された報告6件、議案10件の審議を行い、いずれも承認、可決して閉会した。議案のうち、平成29年度一般会計補正予算では、大船渡町の津波復興拠点整備事業区域内にある⑧街区に立地する2事業者に対し、初期投資費用を国とともに補助し、産学金官連携で支援する地域経済循環創造事業の補助金分3700万円などを補正。歳入、歳出それぞれに10億1400万円を追加し、総額を431億9300万円とした。
支援含む補正予算など可決
地域経済循環創造事業は、総務省所管の地域経済循環創造事業交付金を活用。産学金官が連携し、地域の資源と資金を活用した地域密着型企業による新規事業の立ち上げを支援する。地域の金融機関から融資を受けて事業化に取り組む民間事業者に対し、初期投資費用を市が支援する場合、国も支援する仕組み。
融資の比率は地域の金融機関と、国と市の公費負担額の割合が1対1以上で、公費と地域金融機関からの融資額が同額であることが条件。交付金は国が3分の2、市が3分の1を負担し、市の負担分は普通交付税措置がなされる。金融機関の融資は無担保、無保証の条件が付される。
今回補助対象となるのは、津波復興拠点整備事業区域内の⑧街区(キャッセン・クリエイティブファーム、約4000平方㍍)に立地する2民間事業者がそれぞれ取り組む事業。両事業とも地域経済循環創造事業交付金の本年度第1回交付分に申請し、5月26日付で国から交付予定団体の決定を受けた。
同省の公表によると、対象事業は「ワイン・シードル・りんごジュースの製造・販売による地元果樹栽培の6次産業化の推進と交流人口・定住人口の拡大」と「地域資源の高付加価値化と三陸椿のブランド化を通した新しい働き方の創出と交流人口・定住人口の拡大」となっている。
議員からの事業内容に関する質問に対し、新沼徹企画調整課長は「一つはワイン等を製造、醸造する施設の整備費にかかる1200万円。もう一つは市の未利用、未活用資源であるツバキや水産物、木材等を活用したそれらの加工工場を整備するもので2500万円。合計3700万円を補助金として支出する」と回答。今後、事業者側が市へ補助金交付の申請を行い、交付が受けられる。
このほか一般会計補正予算の主な歳出は、▽畜産競争力強化整備事業(2億1961万円)▽干潟造成事業(6277万円)▽橋りょう長寿命化事業(1億3660万円)▽猪川保育園線道路改良事業(7039万円)──などとなる。
条例案6件のうち、市特定教育・保育施設および特定地域型保育事業の利用者負担に関する条例の一部改正は、子ども・子育て支援法施行令等の一部改正などに伴うもの。市民税非課税世帯第2子の保育料無償化と、年収360万円未満の1人親世帯等について第1子の保育料を3~5歳は月額4100円、0~2歳は5600円に引き下げる。
末崎町の小河原地区道路新設工事の請負変更契約は、路床の盛り土に使用する土砂の運搬工にかかる変更や舗装工の追加、歩道用転落防止柵の設置延長変更に伴うもの。1077万円を増額して変更後の金額を2億4837万円とし、工期を今年9月29日まで延ばした。
報告は28年度の一般会計、漁業集落排水事業特別会計における繰越明許費と事故繰り越しなど。このうち、一般会計分の繰越明許費は44事業、合計50億7394万円を本年度へ繰り越した。事故繰り越しは6事業、合計11億5218万円。
この日はほかに、産業建設常任委員会による所轄事務調査報告も行われた。