ツキノワグマに警戒を、人里周辺にも出没/気仙3市町

▲ 人里への出没も確認されているクマ。今後も注意が必要だ

 県による「ツキノワグマの出没に関する注意報」の発表を受け、気仙3市町でも住民らへ注意を呼びかけている。3市町における本年度の目撃情報は21日現在、計49件。人的被害はなく、農作物などへの目立った被害もいまのところないが、各市町で人里周辺に出没している。全県の出没数(5月)は過去最多となった昨年度、平成26年度に続いて3番目に多いといい、適切な対応が求められる。

 

本年度の目撃情報計49件


 県は例年、クマのえさとなるブナの実の豊凶予測から、大量出没が予測される3月に同注意報を発表している。本年度は大量出没が予測されている年ではないものの、5月中の出没件数は341件。人身被害も9件発生している。
 気仙3市町によると、目撃情報の内訳は21日時点で、大船渡市27件、陸前高田市13件、住田町9件。
 このうち、大船渡市は4月に1件、5月に12件、今月(21日時点)14件。目撃頭数はいずれも1頭で、子グマらしき姿もあったという。
 情報を受けて、市と市鳥獣被害対策実施隊が対応。住家が多いところや学校の近くでは、花火で威嚇し、山へ追い上げる措置をとっている。
 陸前高田市は4月に4件、5月に6件、今月(同)3件。矢作町や横田町をはじめ、野山やそのそばで目撃したケースが多いが、広田町では民家そばに出没した。
 横田町では、5月下旬に廃棄した米ぬかが、広田町では6月上旬に魚成分の入った肥料袋がクマに食べられたとみられる被害も。市は「クマの食べ物となるようなものは適切な管理を」と呼びかけている。
 住田町では5月に2件、今月(同)7件。5月下旬には有住小近くの五葉橋付近、6月初めには世田米のコンビニエンスストア付近にそれぞれ1頭が出没した。世田米大平地内の採掘現場では、5頭の群れが確認された。
 県は、クマの生息域の山林内における対策として▽クマ鈴や笛、ラジオなど、音の出るものを携帯する▽複数人で行動し、見通しの悪い場所や沢沿いではかけ声や音を出して自分の存在をクマに知らせる──など、人里における対策として▽誘因物となる廃棄果樹や廃棄農作物の管理を適切に行う▽庭先果樹や家庭菜園についても、利用しない場合の早期摘果を行う──などを挙げている。