第99回全国高校野球選手権岩手大会/「13人の言葉響かせる」、選手宣誓行う住田・菊池主将
平成29年7月6日付 7面

あす7日に開幕する第99回全国高校野球選手権岩手大会(県高校野球連盟など主催)の開会式で、住田の菊池飛我主将(17)が選手宣誓を行う。先月23日に盛岡市内で行われた組み合わせ抽選会で、希望した約20人の中から選ばれた。マネジャーを含め13人の少数チームに贈られた〝宝物〟。菊池主将は「みんなの言葉を響かせたい」と、大役に決意を込める。
あす開会式
自らが抽選で引いた数字がステージ上で示されると、「マジか!」と心の中で叫んだという。学校から会場に向かうまでの間に、選手宣誓を希望しようと決めたが、当たるとは思っていなかった。
今大会は甲子園を目指す68チームが出場。住田はノーシードで、菊池主将はまず予備抽選のくじを引いた。再び抽選に臨み、組み合わせ位置を示す数字が記されたくじは、選手宣誓希望者が入れる箱に投じた。
この箱には約20人が入れ、その中から大会関係者が引き、毎年一人だけが選ばれる大役に決まった。学校に戻ると「今まで住田がやったことはないんじゃないか」などと声をかけられたという。
授業や練習の合間に、ノートに書き込むなどしながら練り上げる。まず思い浮かんだキーワードは「全員野球」「あきらめないプレー」だった。
また、チームメート全員に、どんな言葉を入れるべきか相談した。「まとめるのが大変」と苦笑いしながらも、「チームとしての思いを響かせたい」と決意を胸に秘める。ともに戦った他校の選手、指導者、地域住民をはじめ、自分たちの野球にかかわるすべての人々に対する感謝も込めたいとも考えるようになった。
菊池主将は、世田米小時代から野球を始めた。「地元で野球がやりたい」と、世田米中から住田高校に入学。しかし現在、3年生選手は菊池主将を含めて2人。1年秋、2年秋には部員が9人に届かず、連合チームを組んで地区予選を戦った。
実戦練習は制限される分、個々の能力を高めることに重点を置いた。冬場はバットを振り、走り込み、ブルペンで投げ続けた。少人数だからこそ、チーム内のコミュニケーションの良さには自信がある。
昨夏は内野手として県大会に出場。主将になってからは「自分がやらなきゃ」と、マウンドに立つ。
投手について「自分で試合を組み立てられる楽しさと、隙を見せればすぐに突かれる怖さを知った」と語る。左腕で、身長155㌢と上背はないが、テンポの良さとキレのある変化球を生かし、春の地区予選2試合はいずれも完投した。
母・祐子さん(42)は「今でも信じられないが、最後の夏に大きな宝物をもらったと思って頑張ってほしい」と語る。開会式は7日午前10時から盛岡市の県営球場で行われる。住田は8日が初戦で、森山球場第2試合で一関第二と対戦する。
思い描く宣誓ができれば、チームに良い流れを呼び込めると信じる菊池主将。「一人しか味わえない舞台。楽しみながら、元気に、正々堂々とやりたい」と話している。