気仙初の「絵本専門士」に、青少年機構など認定/江刺さん(三陸町)が資格取得

▲ 気仙で初めて絵本専門士の認定を受けた江刺さん

 大船渡市のNPO法人・おはなしころりんで理事長を務める江刺由紀子さん(55)=三陸町=が、絵本専門士委員会(事務局・独立行政法人国立青少年教育振興機構、東京都)から「絵本専門士」の資格認定を受けた。1年間の養成講座を修了して〝絵本のプロ〟と認められた人に与えられる民間資格で、気仙での認定は初めて。江刺さんは「講座で得た知識やコミュニティーを生かし、いま取り組んでいる読書活動の質を高めたい」と決意を新たにする。

 

読書活動の質高めたい

 

 絵本専門士は、絵本に関する高度な知識や技術、感性を備えた絵本の専門家との位置付け。青少年機構をはじめ全国の図書、文芸関係者らでつくる同委員会が認定する。学校や家庭、地域でさまざまな読書活動を展開できる指導者の養成を目的に、平成26年度から資格取得のための養成講座を実施している。
 この講座は、絵本に関わる活動で3年以上の実績があり、絵本専門士になる理由が適切であると認められた人が受けられる。
 江刺さんは、28年度に行われた第3期の養成講座に応募。全国600人余りの応募があった中、定員60人という〝狭き門〟をくぐり抜けた。
 講座は、東京の会場で昨年6月から今年1月までに計10日、30科目を実施。資格取得は全科目の修了と修了課題の合格が条件で、江刺さんは法人活動の合間を縫いながら大船渡と会場を行き来し、課題をクリア。5月2日に絵本専門士の認定を受けた。
 青少年機構によると、26年度の第1期から第3期までの資格取得者は159人。このうち、岩手を活動拠点とするのは江刺さんを含め5人で、地元で行う読書活動の内容充実を図るとともに、各地の研修会やワークショップ、イベントへの派遣依頼などにも対応していく。
 長年、気仙地域で読み聞かせ活動や、本を通じたコミュニティーづくり、子どもの読書推進などに尽力している江刺さん。「ますます社会に貢献できるように」と昨春、任意団体だった「おはなしころりん」をNPOへ移行したことなども、資格取得への決意を後押しした。
 江刺さんは「養成講座の内容はとてもためになり、〝本を通じて地域を元気にしたい〟という仲間も増えた。他地方の絵本専門士との連携が可能になったことで活動の幅が広がる」と喜ぶ。
 また、「講座で得た知識や技術を法人のメンバーや周囲に伝えていきたい。将来を見据え、本の力をまちづくりに役立てられる人材を育てていければ」と意欲を見せる。