津波想定し経路確認、開業後初の避難訓練/キャッセン大船渡 (別写真あり)
平成29年7月12日付 7面

大船渡市のまちづくり会社・㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)は東日本大震災から6年4カ月を迎えた11日、大船渡町の津波復興拠点整備事業区域内にあるキャッセン・フードヴィレッジのテナント従業員らを対象とした初の避難訓練を行った。参加者らは地震と津波発生を想定して指定避難場所へ徒歩で移動し、その経路を確認。人命確保に向け、万が一の際に備えた。
キャッセン大船渡は、同区域内に飲食店を中心としたフードヴィレッジ(12店舗)と、小売業や飲食店が入るモール&パティオ(17店舗)を整備。施設はいずれも4月29日に開業し、現在は入居した全てのテナントが営業している。
施設は震災による津波浸水区域内に立地しており、津波注意報以上の発表が出された場合は営業を停止し、来店者や従業員らは指定避難場所などの高台に避難しなければならない。キャッセン大船渡では津波をはじめ、地震、水害、火災などの災害に備えた「災害時マニュアル」を作成し、有事の際の対応や組織体制、応急救護・初期消火・避難等、災害予防対策などを定めている。
避難訓練は施設開業後初の実施となり、この日はフードヴィレッジ各店の店主や従業員、キャッセンのスタッフら約20人が参加。コミュニティスペースで災害時マニュアルの概要や指定避難場所である大船渡保育園園庭までの経路を地図上で確認後、訓練に入った。
参加者らは各店舗に戻り、地震発生に合わせて身の安全を確保。津波警報の発令を聞くとガスの元栓確認や店の施錠を行い、避難場所へ移動した。一部の参加者が来店者役を務め、従業員らは避難への声掛けや誘導、車いす利用者への対応も実践した。
この日、同園到着までの時間は避難開始から8分50秒、津波警報発令からは約12分かかった。来店客がある場合の避難時間、経路の見直しなど課題も浮かび上がり、今後の対応、マニュアルの変更に生かしていくこととした。
キャッセンでは「今後も時期をみて従業員らの防災意識を高め、有事の動きを確認する訓練を実施していきたい」と話していた。
13日(木)には、キャッセン・モール&パティオのテナント従業員らを対象にした訓練を予定。年に1回は、全店舗が参加した総合訓練の実施も計画している。