アユでフルコース料理、まち家世田米駅で試食会/住田町(別写真あり)

▲ アユのフルコース料理に舌鼓を打つ参加者=世田米

 住田町世田米に構える住民交流拠点施設・まち家世田米駅内のレストラン「kerasse(ケラッセ)」で11日夜、気仙川産のアユを生かしたフルコース料理の試食会が開かれた。押し寿司やオーブン焼きなど多彩な5品が出され、アユ提供者らが舌鼓。同店では、8~9月に予約制で出せるか今後さらに検討を重ねる方針で、参加者は新たな取り組みに期待を込めた。

 

気仙川の恵み生かして

 

 「アユの宝庫」として知られ、毎年7月1日の解禁日には内陸部からも多数の愛好者が訪れる気仙川。その一方で、流域の陸前高田市や住田町内では、アユに特化した料理を提供できる体制は十分とはいえない。釣った人々も、自宅では塩焼きで味わうことが多く、料理の種類は多くないという。
 昨春から営業しているケラッセではこれまでも、季節にちなんだメニュー提供や、地元食材に光を当てた企画などを積極的に行ってきた。身近な気仙川でとれるアユを生かした展開を見据え、初の試食会を企画した。
 この日はアユの提供者や、同施設の指定管理を担う一般社団法人・SUMICAの関係者ら計6人が参加。坂東誠シェフ(44)が中心となって調理し、参加者に一品ずつ特徴などを伝えた。
 料理は▽アユのコンフィ・ズッキーニとスイカのマリネ添え▽煮アユの押し寿司▽アユのフリットのトルティーヤロール▽アユとナスのみそオーブン焼き▽アユとスナップエンドウ、ひとめぼれのリゾット──の5品。アユだけでなく、スナップエンドウや米などでも地元産にこだわった。
 見た目にも工夫が施され、参加者はテーブルに皿が出されるたびに「これはきれいだ」などと声を上げながら試食。このうち、リゾットに関しては坂東さんが「一般的なリゾットとは違い、チーズやニンニクは使わず、アユのだしだけでうまみを出している。味が繊細なアユは、豆によく合う」と解説した。
 試食会に参加した世田米の大和田長見さん(52)は、これまでもケラッセに自らが釣ったアユを提供。「初めて食べる料理ばかりで、とくにリゾットが気に入った。気仙川が近くにあるので、こういった取り組みは非常に良いと思う」と話していた。
 この日は、コース料理1人当たり4匹のアユを使用。ケラッセでは安定的なアユ確保の調整など、8~9月の間に要予約の形で限定的に提供できるか、さらに検討を重ねる。
 坂東シェフは「天然の環境でとれるアユは全国的にも貴重で、おいしさをぜひ知ってほしい。こうした取り組みを通じて、気仙川で釣りを楽しむ皆さんとの交流や連携も広げることができれば」と話していた。