新リーダーは誰に、神田・水野両氏が立候補/住田町長選

70719-1%e4%bd%8f%e7%94%b0%e7%94%ba%e9%95%b7%e9%81%b8%e7%ac%ac%e4%b8%80%e5%a3%b0%ef%bc%88%e7%a5%9e%e7%94%b0%ef%bc%89%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%81%a7%e7%b8%a6%ef%bc%93%e6%ae%b5

神田謙一候補

170719-1%e4%bd%8f%e7%94%b0%e7%94%ba%e9%95%b7%e9%81%b8%e7%ac%ac%e4%b8%80%e5%a3%b0%ef%bc%88%e6%b0%b4%e9%87%8e%ef%bc%89%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%81%a7%e7%b8%a6%ef%bc%93%ef%bd%84

水野英哉候補

 16年ぶりに新リーダーを選ぶ住田町長選は18日、告示された。ともに無所属新人で、届け出順に元住田フーズ㈱常務の獣医師・神田謙一氏(58)=下有住=と、元町議会議長の農業・水野英哉氏(61)=上有住=の2人が立候補し、8年ぶりの競争選に入った。それぞれ事務所前で第一声を上げ、初日から町内各地で選挙活動を展開。23日(日)の投開票に向け、5日間の短期決戦が幕を開けた。(7面に関連記事)

 

投開票は23日、5日間の舌戦スタート

 

170719-1%e3%80%80%e4%bd%8f%e7%94%b0%e7%94%ba%e9%95%b7%e9%81%b8%e6%8c%99%e7%ab%8b%e5%80%99%e8%a3%9c%e8%80%85 8月4日の任期満了に伴う今町長選は、昭和30年の町制施行以降通算17回目。23日に投開票が行われる。
 立候補の届け出は午前8時30分から町役場で受け付けされ、抽選の結果、届け出順は神田氏が1番、水野氏が2番となった。その後、新たな届け出はなく、午後5時に2氏による争いが確定した。
 競争選となるのは、前々回選以来8年ぶり。これまでの争いは現職と新人、元職と新人といった構図が続き、新人同士の争いは町制施行直後の昭和30年に4人が出馬した第1回以来。新人2人の一騎打ちは、今回が初となった。
 平成13年から町政を担ってきた現職の多田欣一氏(72)=世田米=は、昨年12月に勇退を表明。両候補とも多田町政に一定の評価を寄せ、政党からの公認・推薦は受けていない。
 前哨戦は、明確な争点や対立軸が見えにくいまま推移。選挙戦では、各候補がそれぞれ歩んできた組織での経験をふまえ、優位性や政策の違いをどう打ち出すかが注目される。
 16年前に7000人を超えていた町人口は、年間100人のペースで減り続け、5000人台となった。人口減少が今後も続くと予想される中、住民福祉をどう維持し、産業振興や地域活性化につながる施策を展開していくか。これまで町が計7億9000万円を融資し、経営再建が急がれる木工団地2事業体に対する姿勢も問われる。
 投票は、23日午前7時~午後6時まで町内17カ所で行われ、開票は同7時30分から世田米の町社会体育館で行われる。同8時30分前には当落の大勢が判明する見込み。
 期日前投票は19日~22日(土)に役場交流プラザで受け付ける。時間は午前8時30分~午後8時。
 今町長選は、18、19歳の投票が可能。17日時点での有権者は5127人(男2502人、女2625人)で、前回選の告示前日と比べて257人少ない。

 

「生きるに値する町に」
神田謙一 候補(無・新)

 下有住中上の事務所前では、午前9時前には支持者約150人が集まり、神田候補の第一声を待った。
 後援会「神田謙一と明日の住田を創る会」の会長で、選対本部長も務める泉金一総括責任者は「きょうからいよいよ選挙戦に入る。前哨戦での後援会活動以上の支持拡大に向け、友人や親戚にもう一度声がけをして、支援の輪をこれからますます広げよう」と、協力を求めた。
 神田候補に対しては、地場産業の振興や雇用の拡大、高齢者・障害者に優しいまちづくり、子育て支援の拡充などを期待。そのうえで「住田町に新しい風を起こし、新しい芽を出させて、みなさんで育てていこう」と訴えた。
 引き続き、後援会顧問の紺野哲男氏が今町長選の重要性を強調。「たった任期4年の問題ではなく、それ以後の住田の方向を左右する」と、檄を飛ばした。
 後援会相談役を務める菊池孝住田町議会議長は「物静かで怒った顔は一度も見たことがない。一方、仕事は常に信念と誇りを持ち一生懸命着実に行うなど、農業者の絶対的信頼を得ていた」と、住田町農協や住田フーズ時代の仕事ぶりや人柄を紹介。
 さらに「政治は経済。経済を知らない人は政治をやる資格などないと、私は思っている。住田町が抱えている諸課題を解決していくには、最もふさわしい人材だ」と熱弁をふるった。
 神田候補は支持者からの盛大な拍手に包まれる中、マイクを握った。昨年12月の立候補表明時から訴え続ける「都市と地方との格差解消」を挙げ、実現に向けた町政運営への意欲を響かせた。
 さらに「人づくりの基本は教育。教育の部分をしっかり支え、そのベースをもとに『医・食・住』の三つの要を施策として取り組んでいきたい」と、福祉や産業振興に向けた政治姿勢を披露した。
 住田町内で生まれ、獣医師になるために大学へと進み、古里に戻って勤務を続けてきた中で受けた周囲の人々からの支援にも感謝を示した神田氏。それに報いるとして「なんとしても安心・安全な町、そして生きるに値する町をつくりたい」と力を込めた。
 最後に「皆さんのご期待に添えるよう、全力で取り組む。この5日間、死力を尽くす覚悟で頑張る」と決意。集まった支持者とともにガンバロー三唱を行ったあと、遊説に繰り出した。

 

「実績、やる気、本気で」
水野英哉 候補(無・新)

 上有住中井の選挙事務所前での出陣式には、支持者ら約150人が訪れた。後援組織「水野ひでや後援会」の吉田倎会長は「選挙戦のスタートラインに立った。勝利のゴールを目指して突っ走っていきたい」と訴えた。
 高橋勲総括責任者は、今町長選は水野候補にとって厳しい戦いが待っているとの認識を示した。そのうえで「あなたがた一人一人ができる選挙運動がある。支援の輪を広げていただきたい。何ら恐れることなく前進していきたい」と、支持拡大に協力を呼びかけた。
 応援に駆けつけた陸前高田市議会の伊藤明彦議長は、水野候補が町議会議長などを歴任して気仙の発展に貢献してきた足跡にふれながら「町長選立候補に至った勇気と決断に、敬意を表したい。最後まで戦い抜き、町長になることを願っている」と激励。
 旧川井村で村長を務めた内舘勝則氏は「若い時から住田町のまちづくりに強い志をもって取り組んできた一人。さまざまな課題に対して、果敢に立ち向かっていける」と、エールを送った。
 マイクを握った水野候補は、出馬までの経緯を振り返った。「悩み続けたが、一人の政治家として姿勢が問われている。逃げるわけにはいかないと考えた」と語った。
 4期16年続いた多田町政が残した課題の一つとして、木工団地の経営再建問題を挙げた。「臨時議会で、2事業体に対する調停の申し立てを議決した。議会の前に、町民に説明すべきだったのでは」と指摘。今後は町民の「納得」が重要との姿勢を示した。
 政策面では少子高齢化問題にふれ、通院や買物時に利用できる無料送迎や保育時間延長の実現は「必ずやる」と強調。さらに森林資源を生かした林業振興や、持続性ある農業展開にも意欲を込めた。
 最後に「実績、やる気、本気の英哉である」と訴えた水野候補。さらなる支持拡大につながる支援を求めたあと「本町を取り巻く環境は、厳しさを増している。私はこれまでのまちづくりを見直しながら、皆さんとともに考え、行動するつもり。まさに町民目線のまちづくりを目指したい」と締めくくった。
 第一声後は、参加者全員でガンバローを三唱。水野候補は集まった支持者一人一人と必勝を誓い合いながら握手を交わしたあと選挙カーに乗り込み、町内遊説をスタートさせた。