NPO法人「高田暮舎」が始動、移住定住促進事業を展開/陸前高田

▲ 移住定住を促進すべく事業を開始した「高田暮舎」のメンバー=陸前高田市

 「ポジティブな過疎地を創る!」を合言葉に陸前高田市で、NPO法人高田暮舎(岡本翔馬理事長)が事業を開始した。東日本大震災後に同市へU・Iターンした若者らが自身の経験なども生かし、「さまざまなことにチャレンジできる地域」をアピールしながら、移住定住促進にかかる取り組みを進めていく。

 

U・Iターンの経験生かし、〝挑戦できるまち〟PR

 同法人は本年度、市から「移住定住総合支援業務」を受託。移住者の受け入れによって少子高齢化の解消や地域活性化を図るために活動し、移住希望者のニーズに合わせた情報提供、移住後のフォローに至るまで、切れ目のない支援を行うとしている。
 高田暮舎には、同市のNPO法人桜ライン311の代表も務める岡本理事長をはじめ、越戸浩貴さん(一般社団法人マルゴト陸前高田理事)、佐々木信秋さん(NPO法人SAVE TAKATA代表理事)、長谷川順一さん(㈱長谷川建設社長)、三浦まり江さん(NPO法人陸前高田まちづくり協働センター理事長)が理事に名を連ね、NPO法人SET代表理事の三井俊介さんがフェロー(特別会員)として加わる。
 いずれも、震災後の同市で、交流人口拡大や産業創出等に関する事業に取り組んできた企業・団体。市の「復興支援員」として辞令を受けた立教大学4年の佐々木裕郷さん(東京都町田市出身)が事務局を務めるなど、メンバーの多くが「U・Iターン者」という点も特徴であり、それぞれの経験や持ち味を生かした事業展開が期待される。
 「陸前高田には、外から入ってきて何かを始めたという人が圧倒的に多いと思う。『新しい芽が育つ土壌がある』という点で、アドバンテージ(優位性)は非常に高い」と自信をのぞかせるのは、Uターン組の一人でもある岡本理事長(34)。移住者らがソーシャルワーク(社会的課題の解決を支える仕事)の分野に挑戦し、活躍してきたことを挙げ、「こうした人たちが、これからのまちの力になる」と確信する。
 岡本理事長は、「移住定住を促すためには、①地域を知ってもらう②移住するまでの課題を解消③移住後のフォロー──の3段階ある。僕らが〝移住コンシェルジュ〟となり、これらすべての段階において1対1で相談できるような関係を築ければ」といい、行政主導ではできないきめ細かな対応によって、ほかの自治体との差別化を図る考えだ。
 本年度はまず、移住定住促進に関するポータルサイトを冬までにリリース。空き家や雇用の情報を機械的に掲載するのではなく、その周辺の環境なども紹介することで、移住したあとの「くらしのイメージ」がつかみやすいよう工夫したいという。「『近くで畑が借りられる』とか、極端に言えば、空き家の〝お隣さん〟情報まで伝えたい」と岡本理事長。
 さらに、「移住者には、『過疎が進む地域で、自分にどんな生き方ができるか』と前向きに考えられるような居場所を提供したいし、『自分もまちづくりに携わっている』と実感してもらえるよう、サポートしたい」と語り、転入してきた人が地域コミュニティーへ溶け込めるような、移住後のバックアップに関しても多角的に見据えている。