今野さん(猪川町)に自立更生者知事表彰、35年の地域貢献評価

▲ 県知事表彰を受賞した今野さん

 大船渡市猪川町の今野春雄さん(79)はこのほど、本年度の自立更生者県知事表彰を受賞した。障害がありながら、35年にわたって自営業を営み地域に尽くした姿勢が評価されたもので、今野さんは「仲間や地域の人たちが支えてくれたからいただけたもの」と感謝している。
 今野さんは、昭和48年まで建設会社に勤めていたが、工事中の事故で脊髄(せきずい)損傷による両下肢(かし)機能障害を負った。
 足が不自由な生活を送るようになったが、地域貢献への思いがあり、地元で菓子やおもちゃなどを扱う店舗「まるこ」を開業。休みの日などは近隣の小学生たちが訪れ、障害とは関係なく子どもたちとの交流を楽しんだという。
 現在は店をたたんだが、営業当時は児童養護施設への花火やおもちゃの提供なども行った。平成14年には、これらの社会貢献活動が「他の障がい者の模範となるもの」とし、県身体障がい者福祉大会で大会長表彰を受賞した。
 今回の県知事表彰は、35年もの長きにわたる社会貢献活動が評価されてのもの。今月14日に盛岡市で行われた「第59回県身体障がい者福祉大会」に出席し、表彰状を受け取った。
 今野さんは「ほかにも障害がありながら頑張っている人がいる中、自分だけこのような表彰をいただくのは複雑な思いもある。ただ、周囲の人たちからたくさんの〝おめでとう〟の言葉をいただけたことはうれしく、みんながいたから得られた結果だと思っている」と喜ぶ。
 現在も、車いすで外に出て登下校の子どもたちとあいさつを交わしたり、地元の身障者関係の活動に参加するという今野さん。「さもないことで周りの人を笑わせることが好き。元気な限り、自分にできることをしていければ」と語っていた。