一茶の世界に心癒やす、長野県民が贈る手製の句集が被災地へ/陸前高田市民ら回覧

▲ 一茶の句と早川さんの絵を楽しむ佐々木さん=高田町

 長野県が生んだ江戸時代を代表する俳諧師・小林一茶の俳句を書き写した和紙352枚が、陸前高田市民に贈られた。手がけたのは、長野県松本市に住む早川幸子さん(84)。2年間、地元紙に連載された一茶の句を鮮やかな水彩絵を添えて残したもので、受け取った市民らは、市井の営みをつぶさに描いた作品をじっくりと鑑賞し、心を和ませている。


 早川さんは、一茶生誕250周年を記念し、平成25年から2年間、信濃毎日新聞1面で連載された俳句を毎日、A3判の和紙に書き写した。地元の絵手紙教室にも通う腕を生かし、句とともに季節の花々など色鮮やかな絵も描いた。
 「春雨や 猫におどりを をしへる子」「かすむ日や 夕山かげの飴の笛」──。何気ない生活風景を切り取ったり、小動物などを登場させながら四季折々の朗らかで美しい情景を詠んだ一茶の句。早川さんは「被災地で見てもらい、心の癒やしにつながれば」という思いを募らせたという。
 その願いに応えたのが、長野市民有志でつくる「被災地オテガミプロジェクト」(久保田洋一代表)。同プロジェクトは震災後、陸前高田市民らに絵手紙約4500通を届けるなど被災地支援を継続している。
 同プロジェクトのメンバーが6月末に陸前高田市を訪問。「より多くの人たちに見てもらいたい」と、まずは被災者に回覧してもらうこととした。
 はじめに句集を預かったのは、第一中グラウンドの仮設住宅に入居する佐々木栄さん(86)・松子さん(84)夫妻。
 栄さんは俳句や川柳の創作を趣味とし、時事川柳や自宅があった今泉地区への愛郷の思いを詠んだ俳句を仮設にも飾っている。「一茶の句は幼いころから知っており、その当時を思い出した。一緒に描かれている絵も素晴らしい。大変楽しく見させてもらった」と喜んだ。
 現在は、地元の絵手紙サークルが作品を保管しており、今後はより多くの市民が観覧できるよう活用のあり方をオテガミプロジェクトとともに検討していく。
 久保田代表は「早川さんの思いが詰まったもの。多くの人に見ていただき、少しでも癒やしのひとときを与えられれば」と期待を込める。